中露が軍事協力を推進

ビル・ガーツ

関係強化し米に対抗

 米国防総省の国家情報局(DIA)はロシアの軍事力に関する初の年次報告で、ロシア、中国両国が世界中で米国に敵対する活動を行っており、「米国の世界への影響力を弱めるために積極的に協力し合っている」と訴えた。

 報告によると、両国の防衛協力は、経済的関係の強化とともに、ゆっくりと拡大している。また、ロシア政府高官らは、中国との関係強化を歓迎しており、プーチン大統領も、中露関係はこの10年間で最も近いと強調している。

 中国は、北朝鮮の核危機を解決する一方で、米国が韓国との軍事演習を停止することを提案しているが、ロシアも最近、この提案を後押ししている。トランプ政権は、韓国と駐留米軍の安全を脅かすとしてこの提案を拒否した。

 報告では、中露両国の軍事協力の詳細には触れていない。しかし、連邦議会の米中経済安全保障見直し委員会が3月に公表した報告では、関係強化によって、複雑な軍事演習や先進兵器の売却が行われるようになっているという。

 両国の協力によって、昨年12月にロシアの戦闘機スホイ35の売却が開始され、新型のS400地対空ミサイルが中国に提供された。中国はさらに、ロシアとの複雑な戦闘演習やミサイル防衛演習からも恩恵を受けている。

 両国は合同で、次世代大型輸送ヘリ、ラーダ級通常動力潜水艦の開発を進めている。軍事協力には、航空機のエンジン、ロケットエンジン、人工衛星、宇宙開発に使用する先進素材の開発も含まれる。

 見直し委員会の報告は「1989年の関係正常化以来、両国間には緊張と不信があるが、軍と国防に携わる指導者らは、互いの相違を最小化し、乗り越えるために着実に協力し、現在は間違いなく最高の協力関係にある」と指摘している。

 両国間の軍事協力の強化は、米国の安全保障に反するものであり、報告は「ロシアの中国への武器売却、軍事技術協力は、米国に重大な影響を及ぼし、米国の航空優勢を脅かし、アジアでの米国の同盟国、友好国にとって問題を引き起こす可能性がある」と結論付けている。