米海軍、ミスチーフ礁近海で「航行の自由作戦」
米国防当局者によると、米海軍艦艇は南シナ海で行った「航行の自由作戦」で、落水者の救難訓練を含む機動訓練を行っていた。中国の領有の主張を強く否定することを狙ったもので、作戦が通常の航行にとどまらないことを示す前例になるとみられる。
作戦は24日、米海軍の駆逐艦デューイによって行われ、中国が領有を主張し軍事化を進めてきた南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島のミスチーフ(中国名・美済)礁の12カイリ(約22㌔)内を航行した。トランプ政権で初の航行の自由作戦となった。
一方でリチャードソン海軍作戦部長は、南沙諸島の航行を認めた上で、すべての国を対象に、公海での違法な主権の主張に対抗するために世界中で海軍が行っている通常の航行だと強調した。
国防総省当局者は、トランプ政権が、中国との関係を維持するために南シナ海での航行の自由作戦を停止したとニューヨーク・タイムズ紙が報じたことについて、不正確だと指摘した。
同紙は2日、作戦を3回実施する要請が、「中国への敬意」に基づく政策変更で国防総省に拒否されたと伝えていた。
この当局者によると、この報道とは逆に、ハリス太平洋軍司令官が今年初めに作戦を提案していたという。
マティス国防長官はこの提案に対して、これまでのように作戦を実施するたびに承認を求めるのでなく、南シナ海での通常の航行など軍事作戦の戦略的プランを提示すべきだとハリス氏に伝えたという。同当局者は「作戦が今後も実施される」ことを明らかにした。
元海軍太平洋艦隊情報部長のファネル退役海軍大佐は「米国の国際法順守の決意を裏付けるものであり、とりわけ、2016年7月の国際仲裁裁判所による、中国の南シナ海での領有の主張と活動を否定した判決への支持が強固であることを示した」と航行の自由作戦の実施を歓迎した。
ファネル氏はさらに、「米軍の南・東シナ海の係争海域での米軍のプレゼンス強化は、拡大する中国の海洋での主権主張に対抗するための唯一の実践的な対抗策だ」と語り、太平洋艦隊の南シナ海での活動を日常的に公開することで、中国に対抗することが重要だと指摘した。






