脅威にさらされる米軍衛星通信システム
中露が宇宙戦能力を強化へ
米軍の衛星通信がサイバー攻撃、レーザー兵器、通信妨害機器、衛星破壊兵器など外国の数々の兵器の脅威にさらされている。国防総省国防科学委員会が1年間に及ぶ軍事衛星システムの評価を基に作成した調査報告でこう指摘した。
報告は、世界中で作戦に使用されている軍事衛星通信が「無力化されたり破壊されたりする可能性に直面している」と指摘、「衛星通信に対する電子的な脅威は、ここ数年で急速に高まり、今後も高まり続けるものとみられる」と強調した。
また、「電子戦、運動エネルギー兵器、宇宙兵器、サイバー戦の能力が発達、拡散し、情報優勢を維持する米国の能力の脅威となっている」「大変な緊張状態にあり、通信妨害によって、商業通信衛星、軍事衛星通信すべてが使用不能になることもあり得る」として、直ちに対処する必要があると訴えた。
衛星通信ネットワークは、攻撃や破壊活動に対して脆弱(ぜいじゃく)であるだけでなく、通信を経由する地上局を使えるのは「ほんの数十人に制限され」、通信妨害には対抗ではないと指摘。紛争時の通信量の増加に対処するためにネットワークを拡大し、システムの防衛能力を高めるべきだと訴えている。
中国とロシアは、現在、戦略的に優位に立っている米軍の通信システムを、紛争時に妨害することを狙って、先進電子戦兵器の開発を進めている。
中国国営新華社通信によると、習近平国家主席は4月、大規模な軍の再編を発表、電子戦能力を特に重視し、2020年までに人民解放軍を「破壊できない戦闘部隊」にすることを発表した。
ロシアのニュースサイト、ベスチも4月、ロシアの電子戦部隊は「一発も発砲することなく」米国の兵器システムを攻撃、無力化するための準備を進めていると報じた。
コーツ国家情報長官は今月に入って議会で、「ロシアと中国は、軍用、民生用、商業宇宙システムによる米軍の優位に対抗する必要性を認識し、今後の戦争ドクトリンの一環の中で衛星システムに対する攻撃の検討を進めている。両国は、米軍の能力を抑制するための手段として、先進的な衛星破壊兵器の開発を進めている」と証言、中露が宇宙戦能力の強化を重点的に進めている現状を指摘、警告した。






