高校に「自衛隊コース」

 安全保障関連法案(以下・安保法案)が9月19日に参議院本会議で可決された。国会の周辺では夜中にもかかわらず、安保法案の採決に反対する若者たちが集まって騒いでいた。

 若者たちが社会や国に対して、問題意識を持ち、意思表示をすることは良いことだ。問題なのは多くのマスコミが若者たちを利用し、日本中が安保法案に反対のような空気を作りだそうとしたことだ。若者の中には高校生の姿もあった。

 その中でも、TBSの「報道特集」、「ニュース23」、関口宏の「サンデーモーニング」、テレビ朝日の「報道ステーション」などでは、「安保法案=戦争法案」を叫ぶ若者たちをヒーロー級の扱いで取り上げていた。

 以前も本欄でこれらの番組について触れたこともあり、繰り返しになるかもしれないが、キャスターやゲストコメンテーターのほぼ全員が、安保法案に反対する若者たちを応援するコメントを連発した。

 一方、産経新聞(9月8日付)が伝えるところによると、高知市の私立高知中央高校が、平成28年度から自衛官にふさわしい人材の育成を目標とした「自衛隊コース」を普通科に新設し、週6時間、柔剣道、自衛隊に関する座学を授業の中に取り入れるという。

 同校の近森正久理事長によると、座学では現役の自衛官やOBを講師として招く予定で、3年次には自衛官の採用試験対策も実施する。加えて、「自衛隊コース」では自衛官に限らず、警察官や消防士の育成も行う。

 近森理事長は「自衛隊コース」新設の理由を「高知県では年間約100人が自衛隊に就職したり防衛大学校に進学したりしており、需要があると判断した。心身ともに鍛えられ、忠誠心をもって日本の国防に当たれる人材を育成したい」と話している。

 同校の「自衛隊コース」を目指す中学生の目には、安保法案に反対する若者たちの姿はどのように映ったのだろうか。是非とも来年4月の入学後に、彼らのコメントを聞いてみたいものだ。(濱口和久)