与那国が埋める空白
台湾と海を挟んで国境を接する日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)で、4月19日、陸上自衛隊の沿岸監視部隊が常駐する駐屯地施設の起工式が行われた(朝雲新聞4月24日付)。
沖縄県内の自衛隊駐屯地・基地の設置は昭和47年の本土復帰以来、初めてとなる。
沿岸監視部隊は平成27年度末までに約150人規模で新編される予定だ。同隊は情報科職種の隊員を主力として、付近を航行、飛行する艦船や航空機をレーダーなどで監視、各種兆候を早期に探知する任務を担うことになる。
起工式に出席した小野寺五典防衛大臣は、挨拶の中で「南西地域での自衛隊配置の空白を埋めるもので、部隊が担う役割や意味は大きい」と述べた。
与那国島には、今まで武器といえば、沖縄県警の駐在所員が携行する拳銃2丁しかなかった。中国人民解放軍が不法上陸してきた場合は、ほとんど手も足も出ない状態であったが、沿岸監視部隊の設置で、不法上陸を躊躇するようになるだろう。
4月20日には、航空自衛隊那覇基地(沖縄県那覇市)に早期警戒機E2Cを常駐配備する603飛行隊が誕生した。
これまでは三沢基地(青森県三沢市)に配備されているE2Cが、必要に応じて南西諸島の領空侵犯に備えていた。今後は、那覇基地に配備されることによって、警戒監視能力の強化が期待されている。
現在、航空自衛隊はE2Cを13機保有しているが、今回、那覇基地には4機を配備した。飛行隊は約60人で発足し、平成24年度末には約130人体制に規模を拡大する。
中国軍はこれら一連の自衛隊の動きに注視しているに違いない。沖縄本島をはじめとする南西諸島の防衛力整備は、この地域の平和と安定に間違いなく寄与することになる。あわせて中国に対する抑止効果を高めることにもつながる。
中国軍の動きを止めるためにも、自衛隊は南西諸島防衛の一層の強化が必要なのだ。
(濱口和久)