米政府系メディア 中国のネット検閲、対策強化
迂回ツール開発計画「自由獲得への一撃」
米政府系放送局を管轄する「米グローバルメディア局(USAGM)」は、中国などが、インターネットを通じて入ってくる情報を遮断するために設けているファイアウオールを回避するための新たな取り組みを始めることを明らかにした。
米国は2016年に、中国、イランなどの全体主義国による、ネットへのアクセス制限に対処するためにUSAGMに「インターネット自由室(OIF)」を設置した。ところがUSAGMのCEO、マイケル・パック氏は、OIFの活動がこれまで、事実上、停止されてきたと指摘、「OIFを脇に追いやっていたこれまでの幹部とは違い、インターネットファイアウオール迂回(うかい)を最優先とする。情報へのアクセスを可能にすることは、自由獲得への一撃となる」と従来の方針を転換することを強調した。
パック氏は6月のCEO着任後、ラジオディレクター全員を解雇、局内の立て直しを進めている。
パック氏はさらに、ファイアウオールを突破するためのツールの開発を進めていることを明らかにした。
USAGMによると、サイフォン、ACIなど検閲迂回ツールを開発している複数の企業とすでに契約を交わしており、今後さらに提携企業を増やす計画だという。
パック氏は「USAGMは、インターネットの自由のための安全で効果的なツールを開発、資金提供していくことで、表現の自由を拡大していく。最終的には、世界中で自由のために戦うジャーナリスト、活動家らが検閲と監視を回避できるようにする技術の開発を支援する」と述べた。
中国は、「グレート・ファイアウオール」と呼ばれる情報検閲システムを運用、世界的にも厳しいインターネットアクセス制限を課すことで、国内の情報、ニュースを管理している。
米当局者らによると、ネット検閲にはイランとロシアも意欲的に取り組んでいる。
「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」などの政府系ラジオ放送を運営するUSAGMの年間予算は8億㌦。トランプ政権からは、米国の政策、価値観を伝えるための十分な働きをしていないと非難されてきた。
中国政府は、米国による中国通信企業への制裁に反発を強めている。18日には、米政府が中国通信機器大手ファーウェイへの新たな制裁を発表したことに強く反発。中国外務省の趙立堅副報道局長が「中国は、中国企業の正当な権利と利益を守るため必要な措置を取る」と主張した。米政府は以前から、ファーウェイが中国軍、情報機関とつながりがあり、安全保障上のリスクだと訴えてきた。






