中国が米州・地方に浸透工作
訪台阻止へ圧力 年金に多額出資
ポンペオ米国務長官は、ワシントンで開催された全米知事協会の会合で演説し、中国が、西側の技術を入手し、政策に影響を及ぼすための計画の一環として、米国内の州や地方レベルで影響工作、資金工作を積極的に進めていると警戒を呼び掛けた。
ポンペオ氏は8日に行われた会合で、中国の外交官らが水面下で、台湾への支援を控えるよう州や地方の政府に圧力をかけていると強調した。
例えば、ニューヨークの中国総領事が州議会議長に書簡を送り、「台湾の選挙の当選者へ祝辞を送ったり、選挙を支持する法案や宣言を出したり、就任式に当局者や代表を送ったり、台湾当局者を米国に招いたりといった、台湾とのいかなる公式の接触も回避するよう」要求したという。
ポンペオ氏は「このようなことが、全米の至る所で起きている」と、他の州でも同様の活動が行われていることを明らかにした。
今年初めに任期を終えたミシシッピ州のブライアント知事(共和)は、台湾を訪問すれば中国政府は投資をキャンセルするという書簡を中国人外交官から受け取ったことを明らかにした。ブライアント氏は、圧力にもかかわらず、台湾を訪問したという。
地方レベルでは、中国共産党員が姉妹都市関係を生かして、教育委員や政治家に接近している。
ポンペオ氏は、中国は米国の自由で開かれた制度を悪用していると主張、知事らに対し、「信用するのはいいが、(すべてのやりとりを)検証すべきだ」と中国との交流に慎重を期すよう求めた。
また、州の年金制度へ中国が関与していることを指摘、フロリダ退職年金基金に中国企業が資金を拠出していることを明らかにした。この企業は、中国国内のイスラム教徒弾圧に使われている監視システムと関連がある。
また、「全米最大の州職員年金基金であるカリフォルニア州年金基金に、複数の中国企業が資金を拠出している。米国の兵士らの命を危険にさらしている中国軍に装備を供給している企業だ」と述べた。
米連邦政府では、州に投資する中国企業への審査を強化、不正を働いた中国人研究者らのビザを停止したりしている。
一方で中国政府のシンクタンクが、50州の知事の中国に対する見方を審査し、「友好的」「強硬」「あいまい」に分類し、州レベル、地方レベルでの浸透を強化しているという。
ポンペオ氏は、中国政府は米国の制度を念入りに分析しており、「自由を悪用して、連邦、州、地方のレベルで優位に立つことを決定した」と警戒の強化を呼び掛けた。
ポンペオ氏はこれまでにも、中国の脅威に関する演説を行っている。これまでに、シリコンバレーのハイテク企業に中国軍を支援しないよう警告し、ハリウッドでは中国が作品を政治的に利用し、共産党支配体制を善良なものとしてアピールすることを許さないよう求めてきた。