中国が新型SLBM試射
戦略兵器開発誇示か
中国軍は22日、開発中の新型潜水艦発射ミサイル(SLBM)「巨浪3」の発射実験を行った。複数の米当局者が明らかにした。中国はアジア、西太平洋での覇権拡大の意思を明確にしており、日本、米国など、アジア太平洋地域各国に戦略兵器開発の進展を誇示する狙いがあるものとみられている。
核弾頭搭載可能の巨浪3は、射程9000㌔以上で、米本土を射程に収める。実験は中国北部の渤海の晋級(094型)原子力潜水艦から行われたとみられ、米偵察衛星などから西方へ飛行するのが観測された。現在094型に搭載され、実戦配備されているSLBM「巨浪2」は射程約7000㌔とみられている。
巨浪3は、新型潜水艦、大陸間弾道弾(ICBM)「東風41」、新型戦略爆撃機、旧式の核搭載可能航空機の更新など中国の戦略兵器開発計画の中核を担う。昨年11月の最初の実験から4回目となり、開発は急ピッチで進められている。
ファネル元米海軍大佐は、今回の実験は、「SLBMの開発が進んでいることを誇示するだけでなく、米国を中国の核の脅威の下に置く中国政府の戦略的意図を米国と世界に知らしめる狙いがある」との見方を表明、「中国は、ソ連が30年間にわたって世界の平和と安全の脅威になったのと同様、現実の脅威となっている」と中国の戦略兵器開発に警鐘を鳴らした。
米国防総省の中国軍に関する年次報告によると、巨浪3は、現在開発中の原潜096型に搭載される予定。096型は、2020年代の初めに建造が開始されるとみられている。
巨浪3の開発が現在、どの段階にあるのかは明らかになっていない。
現行の094型は潜航時の音が大きく、米潜水艦に発見されやすいが、巨浪3が搭載される予定の096型は静粛性が高いため追跡がより困難になる。
中国の魏鳳和国防相は、6月の巨浪3試射の直後にシンガポールでの「アジア安全保障会議」(通称シャングリラ会合)で、アジアと西太平洋での覇権を追求することを明確にしており、インド太平洋軍のデービッドソン司令官はその後の演説で、「ぞっとする」と中国の軍備増強を非難している。






