自衛官の階級名称も見直せ

 8月は毎年、国家公務員の異動と昇任人事の時期である。当然、自衛官も公務員(特別職国家公務員)であり、異動と昇任人事が発令される。

 ところで、本紙読者の皆さんは、自衛官と自衛隊員の違いをご存じだろうか。違いが分からないという人が大半だろう。テレビに登場するコメンテーター(識者?)の中にも、自衛官と自衛隊員の違いを無視して発言しているケースが多いので、ここで改めて説明しておきたい。

 自衛官とは、自衛隊員の中で、階級と制服が指定され、武装して戦闘に従事する要員を指す。自衛隊法に従い任務を行うと規定されており、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊のいずれかに所属する。

 自衛隊員とは、自衛官に加えて、キャリア官僚や一般事務官・技官等が該当する。定員外の職員である自衛官候補生(任期制隊員)、即応予備自衛官、予備自衛官、予備自衛官補、防衛大学校学生、防衛医科大学校学生、陸自高等工科学校生徒及び非常勤職員も含まれる。

 話を異動と昇任人事に戻す。

 私は平成5(1993)年3月に防衛大(神奈川県横須賀市)を卒業する。その後、一般幹部候補生・陸曹長として陸自幹部候補生学校(福岡県久留米市)に入校し、自衛官人生をスタートさせた。現在は、都内の大学で教鞭を執っている。

 一方、防衛大同期の多くが、今も防衛省(東京都新宿区)や日本全国の部隊・基地に勤務しているが、今回の昇任人事において、同期の中から初めて将補が誕生した。旧軍でいえば、少将という階級だ。

 自衛官の階級は旧軍と違い、一般人には非常に分かりづらい。1佐、2佐、3佐という階級も、3佐のほうが1佐よりも上だと思う人もいる。「1佐は旧軍では大佐であり、3佐は旧軍では少佐」と説明しないと理解できない。

 安倍晋三首相は、日本国憲法第9条2項に自衛隊を明記することを掲げている。ならば、同時に階級の名称も見直してほしいと、自衛隊応援団の一人として、私は思う。

(濱口和久)