サイバー攻撃に露が関与

ウクライナ経済の揺さぶり狙う

ビル・ガーツ

 米当局者と民間のサイバーセキュリティー専門家は、ウクライナ政府や銀行などを狙った6月27日の大規模なサイバー攻撃は、ウクライナ経済を揺さぶるために、ロシア政府または、同国政府と関連したハッカーが仕掛けたとの見方を明らかにした。

 対策に当たったセキュリティー専門家は、攻撃は「経済的破壊行為であることは間違いないと思う」と指摘、当初指摘されていた、コンピューター内部のファイルを暗号化して使えなくした上で「身代金」を要求するランサムウエアとは別の「ノットペトヤ」と呼ばれるウイルスを介したものだと指摘した。

 この専門家によると、ノットペトヤは、マイクロソフトの基本ソフト(OS)ウィンドウズの欠陥を突いたもので、「非常に洗練された」ウイルスだという。

 国外の米企業を支援する「海外セキュリティー・アドバイザリー・カウンシル」の報告によると、感染は、ウクライナの会計ソフトの更新プログラムから始まり、ウクライナ政府、民間のネットワークなどを通じて急速に拡大した。

 ウクライナ政府は、攻撃をサイバーテロと非難、セキュリティー専門家によると、被害の60%はウクライナ、30%はロシアで、両国以外の64カ国にまで及んだ。

 ロシアはこれまで、ウクライナに対して、(軍事作戦と非軍事的な工作を組み合わせる)「ハイブリッド戦」(米国防総省)を仕掛けてきた。2014年に投票システムを攻撃、15、16年には送電網に初めてのサイバー攻撃を仕掛けた。

 サイバーセキュリティー企業マカフィーの主任研究員、ラジ・サマニ氏は、「破壊するための活動であり、…ウクライナを混乱させるためのものであることは確かだ」と指摘した。