日米関係、尖閣防衛に不可欠なオスプレイ
国際評価戦略センター上級研究員 リチャード・フィッシャー氏(下)
トランプ政権で米国の対日政策は変わるのか。
当選後にトランプ次期米大統領がいち早く安倍晋三首相と会ったことは非常に良かった。米国の対日政策が継続していく確かなサインとなったはずだ。ただ、政策の具体的な方向性を知るには政権が発足するまで待たなければならない。
日本は集団的自衛権の行使を一部可能にした。これがアジアの安全保障にどう影響すると考えるか。
日本が同盟国と軍事的に協力すればアジアにおける抑止力と安全保障が強化されるため、非常に良い効果をもたらすことになる。
「米国第一」を掲げるトランプ氏は、尖閣諸島の防衛義務を果たすのか。
繰り返しになるが、トランプ政権の政策はまだ固まっていない。ただ、トランプ氏は南シナ海における中国の脅威を強調しており、東シナ海で日本を支援する必要性も認識するだろう。
中国による尖閣諸島周辺での行動に対し、日本はどう対処すべきか。
尖閣諸島に対する中国の軍事行動の兆候が見られたら、迅速に対応する能力が求められる。尖閣諸島への侵攻を撃退するために部隊をすぐ派遣できる能力も必要だ。そのためには、ティルトローター(傾斜式回転翼)機である垂直離着陸輸送機オスプレイを多数保有しなければならない。
もし中国が尖閣諸島に侵攻するなら、同諸島の南にある先島諸島に対する攻撃も検討するだろう。従って、先島諸島に大きな軍事力を置く必要もある。
また中国は琉球諸島全体を自国の領土にできるという印象を作り出したがっている。日本はそうした琉球諸島に対する中国の動きを真剣に受け止め、抑止力を持たなければならない。
大統領選中、トランプ氏は日韓の核保有容認を示唆したが。
日本と韓国の核保有を認めるようなトランプ氏の発言は適切でなかった。だが、北朝鮮と中国を抑止してアジアの核バランスを早急に是正する必要があるのは明らかだ。
一番早い方法は、米国の戦術核兵器を米海軍の潜水艦やアジアの米軍基地に再導入することだ。また米国は、同盟国に北大西洋条約機構(NATO)方式の戦術核兵器の共同配備を提案すべきだ。
それでも不十分ならば、米国は核能力に対する同盟国のより大きな疑問に直面する可能性がある。
中国のサイバー攻撃は日本にも脅威となっている。日米はどう対処すべきか。
中国は痛みを感じるまでサイバー攻撃を抑制しないだろう。従って、米国は中国に対して直接的な制裁を科す必要がある。ただ、制裁が多くの国で共有されなければ効果はない。サイバー戦争を容認できないと中国に示すため、日本や韓国、欧州の同盟国が米国と同じ制裁を実施する必要がある。
(聞き手=ワシントン・岩城喜之)