民意に沿わない報道

 安全保障関連法案(以下・安保法案)の審議が参議院で7月27日から始まった。
次世代の党、新党改革を除く野党(維新の党は中途半端な態度)は相変わらず「安倍政権=戦争推進政権」のような質問を繰り返している。

 国会の外でも、安保法案に賛成、反対派双方のグループが集会・デモを連日行っている。反対派の集会・デモに、子供を連れた母親の姿がたびたびテレビのニュースに登場する。安保法案が子供の命を危険に曝(さら)すのではと心配しているようだが、猛暑の中に長時間おかれた子供の健康の方が心配だ。

 して理由は分からないが、反対派の集会・デモはテレビのニュースでたびたび報道されるが、賛成派の集会・デモは一切報道されない。テレビ局はなぜ賛成派の集会・デモの模様は報道しないのか。

 また、TBSの「サンデーモーニング」「報道特集」「ニュース23」、テレビ朝日の「報道ステーション」の安保法案に対する報道は、国民の声に耳を傾けない安倍首相を描き出そうとするあまり、品格を失った。

 「サンデーモーニング」には毎回、多数のゲストが出演する。ゲスト全員が安保法案反対のコメントをしているが、安全保障の専門家でもないゲストのコメントをそのまま報じる番組は、放送の責任を何と考えているのか。

 話は変わるが、7月26日、東京都・調布飛行場から飛び立った民間小型機が住宅地に墜落し炎上、3人死亡5人負傷の事故を起こした。事故発生当初から一斉にマスコミは事故原因などを報道している。

 しかし今回、事故機の整備・管理会社「日本エアロテック」の責任を追及するような報道はほとんどない。

 これが民間機ではなく、自衛隊機や米軍のオスプレイが住宅地に墜落していたら、マスコミの報道は自衛隊、米軍を徹底的に批判するものになっていただろう。

 そうなれば安保法案と事故が関係なくても、野党やマスコミは事故を利用して、安保法案反対の攻撃材料にしたに違いない。

(濱口和久)