子供の学力向上、4家庭と学校の一体化が課題に


 小6と中3を対象にした全国学力テストによって、地域格差の解消が進んだことが明らかになった。日教組を支持基盤とする民主党への政権交代に伴い、抽出方式になるなど曲折はあったが、全員参加のテストによって、各学校の課題とそれを克服するための対策が明確になるとともに、教師の意識改革が進んだ結果だと評価できる。

沖縄の小学校が大幅改善

 今回のテスト結果で注目されるのは、都道府県別で下位県の成績底上げが顕著になったことだ。中でも、これまで最下位クラスだった沖縄県は、小6算数Aが6位に躍進するなど、小学校で大幅に改善した。中学校は依然最下位が続くが、全国平均との差が縮まる傾向にある。

 沖縄県は、学力テストが始まった2007年度以降、成績上位の秋田県と教師の人事交流を行うなどして教師の意識改革を進めてきた。テスト結果の低迷が続いたことで、学校外の研究などに積極的に参加する教師が多くなったという。

 比較可能なデータを得て、各学校が取り組むべき課題を明確化することは、子供の学力向上の最低条件である。全員参加の学力テストはそれを可能にしている。日教組は、子供を学力競争にさらし、学校の序列化につながるとして反対してきたが、地域格差の解消が進んでいる現実は、そのような懸念が杞憂に過ぎないことを示している。

 ただ、学力向上で重要なのは、教師の意識改革だけではない。今後の課題は、学校教育と家庭教育の一体化だろう。就寝時間など家庭での生活態度は子供の学力を左右する。

 文部科学省が学力テストとともに行った児童生徒アンケートでは、その点で気になる実態が浮き彫りとなった。携帯電話やスマートフォン(スマホ)、テレビゲームをする時間が長くなる一方で、それらの使用時間が増えるほど、小中全教科で成績が低下することが分かった。

 スマホなどを「持っていない」と回答したのは、小6で46%。中3になると、23%しかいなかった。1日1時間以上使用する割合は、小6で15%だったが、中3では、ほぼ5割に達した。そればかりか、後者の10人に1人は4時間以上ものめり込んでいる。

 これでは学力に影響が出て当然である。使用時間が30分未満の子供と、4時間以上の子供のテスト正答率を比べると、全科目平均で約14ポイントの差があった。中学数学Bでは、その差が最も大きく、18・6ポイントも開いた。

 使用時間が長くなれば、家庭での学習時間が少なくなるだけでなく、睡眠不足に陥って、学校でも集中力を欠くことになる。子供の学力向上を進める上で、スマホ使用が障害になっているのは明らかだが、1人だけ使用を止めると、仲間外れになる懸念があり、この問題に各家庭で対応するのは難しい。

スマホ使用への対応を

 小学校での学力向上が著しい沖縄が、中学で最下位が続くのは、この年齢になると家庭教育が重要になってくるからだ。それを示す典型例が子供のスマホ使用の問題だ。保護者と学校、そして地域社会が連携して対応することが求められている。

(8月31日付社説)