インド首相訪日、日印関係の一層の発展を期待


 インドのモディ首相がきょう、公賓として来日し、9月1日にモディ政権発足後初の日印首脳会談を開く。

 かねて親日家と言われているモディ首相の来日を機会に、日本とインドの関係のさらなる発展が求められる。

 当初の予定を1日前倒し

 モディ首相は当初、31日に来日する予定だったが、1日前倒しした。きょうは京都など関西方面を訪れ、対日友好関係をアピールする。最近のインド首相の訪日としては最長日数で、モディ政権の日本重視の表れと言っていい。

 昨年11~12月には天皇、皇后両陛下がインドを訪問され、今年1月には安倍首相も訪れた。アジアの二大民主主義国として、普遍的な価値と戦略的利益を共有する日印両国の関係は一段と深まりつつある。

 この5月にインド総選挙で勝利したモディ氏は早くから訪日を希望していた。今月には、ミャンマー訪問中の岸田文雄外相とインドのスワラジ外相との会談が行われ、経済分野と海洋安全保障分野の協力を確認している。首脳会談では外務・防衛担当閣僚級協議(2プラス2)の創設で合意する見通しだ。

 モディ首相はグジャラート州首相時代、日本企業を誘致して州経済の目を見張る発展を実現した実績がある。積極的なインフラ開発や外資誘致が、同州に年平均10%超の経済成長をもたらした。

 今度は、インドの首相として日本企業の誘致を図ることになる。とりわけチャイナリスクで企業の投資の分散が進む中、日本では、すでに鉄道インフラ関連企業が新幹線導入への道筋をつくろうとするなど活発な動きがある。

 インドは12億人の巨大な市場に、人口の約半数が24歳以下という豊富な労働力を持つ。もっとも、2003~11年には平均8%以上だったインドの国内総生産(GDP)成長率は、最近は4%台に落ち込んでいる。インド経済が目覚めるのか、ひとえにモディ首相の経済政策にかかっていると言える。

 次に中国との関係であるが、インドは直接対峙し、過去には国境紛争が生じたこともある。昨年も中印両国が領有権を争うカシミール地方で、中国人民解放軍がインド支配領域に越境する騒ぎが起こっている。また、中国がパキスタンやモルディブなどで海軍関係の動きを活発化させていることから、海洋でも高い対中警戒度がある。

 中国に対しては、日本、インド、さらには米国を加えた連携が形成されつつあるようだ。ヘーゲル米国防長官は今月、インドを訪問し、武器、ミサイルの共同生産を持ち掛け、中国を牽制する作戦に出た。

 ヘーゲル長官は講演で「米国とインドは、安全保障における協力関係を日本にも広げて、3国間での防衛協力を考慮すべきである」と語った。

 中国念頭に緊密な連携を

 日本とインドはアジア・太平洋地域で影響力を強める中国を念頭に、緊密な連携を図るべきである。

 今回のモディ首相訪日がその流れを加速することを期待してやまない。

(8月30日付社説)