「革命党」の本質変わらずー中国共産党史研究 京大・石川禎浩教授
7月に創立100年を迎える中国共産党は、徹底した情報統制など、「革命党」として結成した当時の属性を今も変わらず維持している。
14億の人口を抱える経済大国のかじ取りを担う政権党となった今、問われている役割とは何か。党史に詳しい京都大人文科学研究所の石川禎浩教授(中国近現代史)に聞いた。
中国共産党の本質的属性とは。
最近露骨になってきた隠蔽(いんぺい)体質、情報統制、独裁志向は随分前からある。結党当初の1920年代は党内民主主義もあったが、情報や討論を一部の人にしか許さない体質は30年代から強まり、毛沢東が最終的に権力を握る40年代に完成し今日に至っている。
属性の一つに党員を区分・序列化する等級制度がある。
共産党自体が格差構造だ。まず党員と非党員の間に「革命を指導していく前衛党の私たち」と「導かれ協力していく民衆」という大きな格差がある。党内の格差もあり、昔は幹部の等級で食料が異なったが、最近は得られる情報のレベルに差が生じている。この格差構造が党運営のカギであり、共産党らしさの源泉とも言える。
そうした属性による弊害は。
当然ある。革命党であれば、情報が漏れれば即座に党の壊滅につながるため、組織防衛の意味で必要だったろう。しかし、公党に変わり政権も握った以上、果たさなければならない責務がある。情報公開はその一つだ。
党はなぜ変わらないのか。
他に賢い政党や政治勢力はなく自分たちが正しい、優れているというDNAが引き継がれているのだろう。
現代の共産党トップ、中国の指導者に求められることは。
西洋型の国の運営、政治スタイルとは異なる中国モデルを、東洋文明の可能性を含めて提示したいという意向があるのなら、よく考えてアピールしなければならない。革命家の孫文は戦前の日本に対し「西洋流の覇道文化の番犬になるのか、東洋の王道文化の守り手になるのか、よく考えてほしい」と訴えた。日本は結局、覇道の道を進み戦争をしてしまった。今はその問いが中国自身に向けられているのではないか。
(時事)