台湾問題で妥協「容易でない」 中国、武力行使は将来の選択肢
中国共産党100年
張五岳・淡江大副教授に聞く
【台北時事】中国共産党創立から100年を迎える習近平政権の対台湾政策などについて、両岸(中台)関係に詳しい台湾の張五岳・淡江大副教授に聞いた。
習政権の台湾に対する強硬姿勢が台湾の人々の反感を招いている。中国が対台湾政策を見直す可能性はあるか。
われわれとしても北京(習政権)に新たな思考を期待しているが、客観的に見てその可能性はほとんどない。共産党は一党独裁なので、民族主義や愛国主義、国家主権を強調する必要があり、新疆ウイグル自治区や香港、台湾の問題で大きく妥協したり譲歩したりすることは容易ではない。
中国が台湾を武力統一するリスクが高まっているとの指摘もある。
統一は北京の最重要の戦略目標であり、平和的な手段を使うか武力を使うかは、戦術上の選択だ。今のところ平和統一が最優先の目標で、武力統一は将来必要になった時のオプションにすぎない。
国際社会も台湾海峡の情勢を懸念している。
確かに昨年の台湾と中国の政治的な関係はとても良くない1年だったし、今年前半も友好的とは言えない状態だ。ただ、台湾の対中輸出額は昨年、過去最高を記録した。北京が貿易で大規模な報復を準備するとしたら、台湾に対する戦略的な思考を完全に切り替えたことになり、両岸関係は楽観できなくなる。
中台の公的交流が再開する可能性はあるか。
(蔡英文総統の任期中の)3年以内の再開も、両岸のリーダーが会うのも可能性はゼロだ。こうした状況では両岸の人々が憎悪や対立をあおらないことが必要だ。両岸がアクシデントを避け、危機管理を徹底し、敵意を深めないことが肝要で、北京はもちろん、ワシントン(米国)や日本もそう期待しているはずだ。