自民党の運動方針、120万を目指す党員獲得

改憲へ「対話集会」盛り込む

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自民党大会で万歳する安倍晋三首相(中央奥)ら
=19日午後、東京都内のホテル

 自民党の第81回党大会が19日に開催され、同党機関紙「自由民主」1月28日号が報じた。衆参の選挙で自公与党が安定多数を得、2020年五輪開催が決まるなど政権党として幸運な時期を、安倍晋三首相(党総裁)のあいさつからとった「世界の真ん中で輝こう」という1面見出しが物語る。

 政府の長として首相は強い経済、国家安全保障戦略などを強調する一方、党を預かる石破茂幹事長は「最近の国政選挙における『大量当選・大量落選』の連鎖を断ち切るため『選挙に強い自民党を作る』と言明した」と同紙は紹介した。強い党作りについて、同紙掲載の「平成26年度党運動方針」から見てみたい。

 運動方針の「2.来る選挙に向けた強固な党組織作りへの活動展開」では、「政権復帰の原動力になった」のは「都道府県連青年局メンバーへの国内外の研修活動」と指摘しており、これを「充実させる」という。業界団体が離れる野党暮らしで自民党は青年パワーの必要を実感したようだ。

 また、「足腰の強い青年組織を整備するため、街頭・広報など従来の活動に加え、各種青年団体や異業種グループとの連携、学生部活動の拡充、さらには党員獲得に向け取り組みを強化する」と運動方針は綴る。党員獲得については、「300選挙区すべてに4,000名の党員を確保することを目標とする『党員獲得運動推進要綱』を定め、運動を強力に展開する」と打ち出した。つまり120万党員を目指すという。

 自民党の党員減少を共産党が18日に採択した26回党大会決議の中で「自民党の党員数は、547万人(1991年)から79万人(2012年)に激減した」と書いている。かつての自民党党員は総裁公選による候補者の票集め、参院比例代表区が01年から非拘束名簿方式になる前の拘束名簿方式だったころの比例代表順位を競うノルマなどから数字が膨らんだ事情もあろうが、減退は深刻だ。衆・参院選勝利についても「運動方針」では党の支持回復とは認めていない。

 青年層に対する政治運動は戦後一貫して共産党など左翼勢力が先行している。が、最近は安倍首相の靖国神社参拝について20代、30代の若い世代が理解を示す率が高い例などから、青年層に保守理念を柱とした党勢拡大のポテンシャルはあるだろう。

 運動方針は「憲法改正」についても国民に向かって「対話集会」を行うとしている。改憲には国民投票があり、必然的な運動だ。さっそく同紙5面には党が開催した「憲法改正シンポジウム」の記事が載る。憲法改正には広範な改憲勢力の連帯を図る必要があろう。

 また、安倍首相が言明した特定秘密保護法の説明について「丁寧に説明していく」と運動方針は示しており、同紙11面に同法への疑問について中谷元・特命担当副幹事長がインタビューに答えた。民主党政権は唐突な政策転換で支持が激減した。国民への説明は選挙に強い党作りに不可欠だ。

解説室長 窪田 伸雄