米国、中露の軍事関係強化に懸念
東シナ海で初の空軍軍事演習
「領空」侵犯したロシア軍機への韓国軍機による警告射撃で、両国間に緊張が高まったが、米国では、中露の軍事面での関係強化が、東アジアでの地政学的情勢に大きな影響を及ぼすのではないかと懸念されている。
ロシア・メディアによると、ロシアのTU95爆撃機2機と中国のH6爆撃機2機が、東シナ海、日本海で合同演習を実施した。両国空軍による長距離演習は今回が初めてだ。
1年半前から両国は協力関係を強めており、大規模な合同軍事演習を行い、兵器の売買も急増、アナリストらによると、両国はこの地域で、米国に対抗する新たな勢力を構築しようと、さまざまな措置を取っているという。両国は23日にも武器取引の拡大計画を発表したばかりだ。
保守系シンクタンク、ヘリテージ財団アジア研究センターの上級研究員ディーン・チェン氏は、「ロシア・中国間の軍事関係が深まっている。5年前にはほとんど見られなかったことだ」と指摘、「根底にあるのは、互いへの共感ではなく、米国への反感だ」と、同盟強化の背景に両国に共通する反米感情があると分析する。
米国は、南シナ海での軍事プレゼンスを強化。ロシアには経済制裁を科すなど両国を牽制しているが、中露接近に対してどのような戦略を持っているのかははっきりしていない。
中国の軍需産業の急成長も、事態を複雑にしている。軍事ニュースサイト「ディフェンスニュース」と英国際戦略研究所(IISS)が収益などをもとに世界の軍需企業を分析した結果、中国企業がトップ15中に6社入った。昨年の調査ではゼロだったことから、中国軍需産業の成長ぶりが窺える。中国企業で1位にランクされた中国航空工業集団は、米ゼネラル・ダイナミクスや英BAEシステムズなどの欧米大手企業より上位にランクされている。ロシアのアルマズアンティは15位にランクインした。
露紙モスクワ・タイムズによると、ロシアは今年に入ってSU35戦闘機24機、25億㌦分を中国に売却しており、両国間の武器取引は増加傾向にあるという。
両国間の軍事演習も増加しており、2015年に地中海で海軍合同演習を行って以降、数多くの合同演習が実施されている。昨年秋には、冷戦後最大規模の軍事演習「ボストーク(東方)2018」が行われ、ロシアから30万人、中国からは3500人以上が参加した。
また、日韓関係が悪化していることも地域情勢に暗雲を投げかけている。チェン氏は、「まず、日韓間の緊張を和らげる必要がある。このままの状態が続くことは米国にとっても問題だ」と指摘、中露連携に対抗するため、強固な日韓関係が不可欠だと訴えている。
(ワシントン・タイムズ特約)