エスパー米国防長官就任


トップの長期不在解消

 米上院本会議は23日、マーク・エスパー陸軍長官(55)を国防長官に充てる人事を賛成90票、反対8票の圧倒的多数で承認した。エスパー氏は同日、ホワイトハウスで宣誓し、就任した。マティス前国防長官が辞任してから半年以上にわたって続いた長官の不在が解消された。軍事力を拡大する中国、ロシアへの対応や緊張が続くイラン情勢において舵(かじ)取りを担うことになる。

エスパー米国防長官

23日、ホワイトハウスで、就任演説を行うエスパー米国防長官(EPA時事)

 トランプ米大統領は23日の宣誓式で、エスパー氏について「彼が優れた国防長官になると確信している。彼はあらゆる点で傑出しており、政権に参加してくれて光栄だ」と期待感を示した。エスパー氏は「国防長官に任命されて、史上最大の軍を率いることは生涯の名誉だ」と応じた。

 エスパー氏は16日の公聴会で、トランプ政権が大国間の競争相手の位置付ける中国やロシアに対抗するため、軍の近代化を進め、極人工知能や超音速兵器の開発に取り組むと強調。日本など同盟国との一層の関係強化を目指す考えを示した。

 緊張が高まるイランへの対応も急がれる中、国防長官の不在が長引いていることに懸念も高まっていた。共和党上院トップのマコネル院内総務は採決前の演説で「上院で承認された国防長官が緊急に必要だ」と主張。エスパー氏は超党派の幅広い支持を受けて承認されたが、2020年の大統領選に立候補を表明しているウォーレン氏、ハリス氏らが反対に回った。

 エスパー氏は、米陸軍士官学校を卒業後、湾岸戦争に従軍。退役後は当時上院議員だったヘーゲル元国防長官の政策顧問を経て、防衛大手レイセオンで政府交渉担当の副社長を担った。17年11月から陸軍長官を務めていた。

(ワシントン 山崎洋介)