米国防総省報告 外交で「ハイブリッド戦」駆使


ロシアの攻勢に警告

 ロシアは、軍事作戦と非軍事的な工作を組み合わせた「ハイブリッド戦」戦略を生かし、国際社会で影響力を浸透させてきた。米国防総省の最新の研究報告が指摘した。報告は、米国は強靭(きょうじん)で包括的な戦略を立て、ロシアによる21世紀の攻勢に対抗すべきだと警告した。

 報告は、軍と民間の専門家らが統合参謀本部議長のために作成したもの。

 ロシアは依然、「グレーゾーン」での作戦の開発に取り組んでおり、直接的な全面戦争には至らないものの、外交や地政学に大きな影響を及ぼし得ると強調。偽情報を拡散させたり、国外の紛争地域に民兵を展開させたり、エネルギー資源を利用し政治的影響力を行使したりするなどのロシアの戦術のさまざまな例を挙げた上で、「ロシアは、この戦争を戦い、勝利するためには、国家が持つすべての手段を統合し、非軍事的、軍事的手段を組織的に動員することが非常に重要だと考えている」と訴えた。

 報告によると、ロシアはエネルギー資源を武器に、ロシアへのエネルギー依存を強める欧州各国への政治的影響力を強めている。その例の一つとして天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の建造が挙げられている。

 報告は「ロシアが国外での影響力を強め、さまざまなグレーゾーン戦術を使って、戦略的目標を達成しようとしているにもかかわらず、米国は依然、この戦略の影響を限定的とみている」と警鐘を鳴らした。

(ワシントン・タイムズ特約)