米の対中制裁関税、中国は不公正な慣行改めよ


 トランプ米政権は、中国からの輸入品2000億㌦(約22兆円)相当に課している追加関税を10%から25%へ引き上げた。中国からの輸入品すべてに追加関税を課す準備も始めた。

 いずれも知的財産権の侵害を理由とした制裁措置で、中国は報復措置に動く構えだ。

全輸入品に対象拡大か

 米中両国はワシントンで閣僚級の貿易協議を開催。米国は追加関税の税率を引き上げることで構造改革を迫ったが、中国は拒否した。

 中国は今月上旬、知財権侵害や米企業に対する技術移転強制などを禁じる法整備の約束を撤回し、合意案の修正を求めた。合意案は中国側の譲歩を印象付けるもので、中国側はバランスに欠けていると主張した。

 中国は軍事転用も可能な最先端技術に補助金をつぎ込むなど国家主導で重点産業を育成している。合意案は、こうした成長モデルを否定するものだ。中国は10月に建国70年を迎えるが、習政権としては権威を傷つけるような譲歩はできないとの判断もあろう。

 しかし補助金政策や知財権侵害、技術移転強制などは、米国だけでなく、日本や欧州も悩まされてきた問題だ。中国は世界第2の経済大国であり、不公正な貿易慣行は改めなければならない。

 米国は昨年から3回にわたって合計2500億㌦相当の中国製品に追加関税を発動した。第4弾で約3000億㌦分が対象に加われば、年間輸入実績にほぼ相当する中国製品に高関税が課されることになる。米国は不公正な競争で中国経済が高い成長を続けることを容認しない姿勢だ。

 国際通貨基金(IMF)の最新の試算によると、米中間の貿易すべてに25%の関税が課された場合、米国は最大で0・6%、中国は同1・5%、年間の経済成長率が押し下げられる。日本をはじめ世界経済に悪影響が及ぶことが懸念される。

 ただ米中貿易摩擦には、国家情報網や軍事力などを大きく左右する次世代通信規格「5G」の開発をめぐる覇権争いも絡んでいる。

 トランプ政権は昨年初めに公表した新国防戦略に基づき、米ハイテク技術の防衛に向けて取り締まりを厳格化。競合する中国半導体に制裁関税を発動した。貿易摩擦が激化する中、中国は米国からの先端技術導入が難しくなりつつある。

 急速に軍事力を拡大し、南シナ海の軍事拠点化などを進める中国が、ハイテク技術の分野で覇権を握れば、その脅威は格段に高まる。米国は中国に構造改革を強く要求し続け、中国の覇権拡大を許さない姿勢を示す必要がある。

対立長期化を念頭に

 米中両国は今後も貿易協議を続けるが、先行きは予断を許さない。中国は過度な対米譲歩に強く反発する国内の声をかわしつつ、対話を続けて着地点を模索するとみられるが、抜本的な改革は避けられまい。

 米国経済は底堅く、トランプ氏は長期戦も辞さない姿勢だ。日本企業は米中対立の長期化を念頭に事業戦略を描くことが求められる。