米不法移民2007年以降最多に
薬物密輸に悪用も
米南西部で国境を越える不法移民が急増している。2019年度(18年10月~19年9月)の不法移民の数は、ブッシュ(子)政権下で大規模な国境の壁建設が始まった2007年以降で最多となる見込みだ。国土安全保障省によると、国境警備隊は昨年10月以降の4カ月間で20万1500人を拘束、前年同期と比べて84%増加した。このペースでいけば、年間で73万3000人に達し、過去10年以上の年間の不法移民数を大幅に上回る。
家族と子供の移民が増加しており、国境警護当局は対応に手を焼いている。ブライアン・ヘイスティングス運用部長は「中米からの家族や、親が同伴していない子供の移民がかつてない規模で増加。取り締まり機関の負担が増えている」と、対応が追いついていない現状を強調した。
拘束された家族の移民は前年度から290%増加し、今では数百人で構成する「ミニキャラバン」が頻繁に越境しているという。
国境警備当局者が明らかにしたところによると、移民キャラバンが、薬物の密輸や人身売買から取り締まり当局の目をそらすために利用されている。犯罪組織は、大量の移民を送り込み、係官らが集められて食事の提供や健康チェックに忙殺されている間に、麻薬を持ち込んでいるという。
税関・国境警備局職員は8日の会見で、「犯罪組織は、薬物の密輸を容易に行えるよう、キャラバンを利用している」と指摘した。
国土安保省によると、少なくとも100人で構成されるキャラバンの数は昨年10月以降の4カ月で60だが、18年は年間で13、17年にはわずか1だった。
(ワシントン・タイムズ特約)