米大統領、与野党合意に不満


非常事態宣言の可能性も

 トランプ米大統領は12日、ホワイトハウスで記者団に、政府機関の一部閉鎖の回避に向け11日に与野党が原則合意したこと受け、「非常に不満だ」と述べた。議会の予算案を拒否する考えは示さなかった一方で、非常事態宣言などによって議会の承認を得ずにメキシコ国境の壁建設のための予算を捻出する可能性も改めて示した。

 米メディアによると、与野党合意では、メキシコ国境における「物理的な障壁」の建設費について、トランプ氏が要求した57億㌦(約6300億円)よりもはるかに少ない13億7500万㌦(約1500億円)の予算にとどまっている。

 トランプ氏は、「美しく、大きく、強い壁を築くために追加すべきものは追加する」と強調。「すべてのことを考えている」として、非常事態宣言などの手段で壁建設を進める考えを改めて示した。

 一方で、暫定予算の期限となる15日までにトランプ氏が議会の予算案に署名しなければ政府閉鎖となるが、同氏は「再び起きるとは思わない」と表明。仮に政府閉鎖となれば、「民主党の責任」だと指摘した。

 与党・共和党議員からは、トランプ氏が米議会の予算案に署名することを促しつつ、非常事態宣言によって壁建設に必要な予算の不足分を補うことを支持する声も上がっている。

 共和党のマコネル上院院内総務は12日、記者団に与野党の原則合意について「大統領が望むものがすべて盛り込まれたわけではないが、正しい方向への第一歩だ」と述べ、トランプ氏が予算案を承認することに期待を表明。一方、非常事態宣言については、「トランプ氏は国境を守る努力を強化するために合法的に使用できるあらゆる手段を自由に使用できるはずだ」と述べ、支持する考えを示した。

(ワシントン山崎洋介)