米のアフリカ戦略、関係強化で存在感高めよ


 ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、トランプ政権のアフリカ新戦略を発表した。透明性が高く、包括的かつ持続可能な投資・貿易を推進すると強調する一方、影響力を拡大している中国とロシアの経済支援は「略奪的」と痛烈に批判した。

中露が影響力を拡大

 とりわけ中国は、アフリカの国々に賄賂を贈ったり、借金を戦略的に利用したりしている。ボルトン氏は、こうした略奪的な行動はシルクロード経済圏構想「一帯一路」を含む中国のより大きな戦略の一部を成していると主張。「2007年以降、アフリカにおける経済進出はどの旧宗主国との合計より、中国が多い」と述べた。

 中国の習近平国家主席は今年9月、北京で開かれた「中国アフリカ協力フォーラム」首脳会合で、19年以降の3年間で「再びアフリカに600億ドルの支援を提供する」と表明した。巨額の経済支援を通じて影響力を強化する狙いだが、アフリカ各国を借金漬けにすることは許されない。

 ボルトン氏はロシアについても「法の支配や透明性が高く責任のあるガバナンスを軽視し、腐敗した経済支援で影響力拡大を狙っている」と述べた。中露両国による支援は、アフリカの経済成長を妨げ、経済的自立を脅かしていると言えよう。ボルトン氏は、両国が「米国に対する競争優位性を得ようと意図的かつ積極的に投資目標を設定している」との見解を示した。

 中国は経済協力の拡大をテコに、17年には海外初の軍事拠点をアフリカ東部のジブチに設けた。文化面でも中国の影響力は強まっている。中国政府が中国語を広めるために国外に設立している「孔子学院」は、アフリカで39カ国54カ所に上る。米国は、こうした中国の覇権主義的な動きに対処する必要がある。

 ボルトン氏は、政府系金融機関の投融資枠を倍増させて米国企業の事業機会を創出し、アフリカ諸国の独立性と米国の利益を守るために経済関係を発展させることを表明。米国がアフリカに求めるビジョンは「独立、自立、成長」であって「依存、支配、債務」ではないとも強調した。

 米国はアフリカとの関係強化を通じて存在感を高め、中露両国に透明性を確保した支援を行うよう求めるべきだ。地域の安定には米国のプレゼンスが必須である。

 日米両国は「自由で開かれたインド太平洋」構想を掲げる。この構想は、インド洋と太平洋に面したアジアとアフリカを結ぶ地域の経済成長と安定を目指すものだ。米国は中露両国に対抗するため、民主主義国の日本やオーストラリア、インドなどと連携して自由や法の支配などの価値観をアフリカに浸透させなければならない。

日本も成長の支援を

 日本は1993年からアフリカ開発会議(TICAD)を主催。来年8月に横浜で第7回首脳会合を開く。

 会合でアフリカ諸国との関係強化に努めるとともに、質の高いインフラ投資や人材育成などでアフリカの成長を支援していくことが求められる。