米、アフリカの兵力削減へ
テロ組織と中露、両方の対応を迫られる
米国防総省が先月、アフリカの対テロ作戦を10%削減する方針を明らかにしたが、一方でロシアと中国はアフリカでの影響力拡大に精力的に取り組んでいる。この決定によって、アフリカに残された特殊部隊などの米軍部隊は、テロ組織との戦いと、中露との戦いに焦点を移す新たな米国家防衛戦略との両立を図るという困難な対応を迫られている。
特殊作戦軍のトーマス司令官は最近、オースチンのテキサス大学で行われた国家安全保障に関するバネルディスカッションで、「中国とロシアがジブチに本格的に進出している。…アフリカで現地の主権に対抗し、非常に精力的に競い合っている」と中露のアフリカ進出ぶりを強調した。アフリカ東部のジブチにはアフリカ最大の米軍基地、キャンプ・ルモニエがある。
トーマス氏は、「中国はアフリカ全域で資金をばらまき、表向きはイスラム教を支持している」、一方でロシアは、リビアでの過激派組織「イスラム国」(IS)との米国と同盟国の戦いの「成果を奪い取ろうとしている」と警告した。
米軍のアフリカでの作戦の縮小は現在、アフリカ西部の対テロ作戦に集中し、影響を受けるのは「アフリカで作戦行動している7200人の軍人の一部」だと国防総省は発表している。
しかし、ゴードン国家情報副長官は、テロ対策は何十年にもわたって進められており、「ロシアからイランに、中国から国際組織犯罪に要員、資金を移すことは非常に難しい」と主張する。
米軍司令官らは、アフリカでの部隊縮小は、トランプ政権がアフリカでの過激派組織との戦いを放棄したということではないと訴える。
次期特殊作戦軍司令官に指名されているリチャード・クラーク中将は上院軍事委員会での公聴会で「米本土が攻撃を受ける可能性は高く、テロ組織への圧力は維持しなければならない」と指摘した。
(ワシントン・タイムズ特約)