トランプ政権 「力による平和」で中国に対峙


WT紙コラムニスト ビル・ガーツ氏講演

 米ワシントン・タイムズ(WT)紙のコラムニストであるビル・ガーツ氏は11日夜、東京・西新宿の京王プラザホテルで開かれた国際指導者会議(ILC)有識者特別懇談会(主催・UPF―JAPAN、平和政策研究所)で、「米国の対中国政策と米中関係の展望」をテーマに講演した。

ビル・ガーツ氏

UPF-JAPANで講演するビル・ガーツ氏=11日、都内のホテルで(加藤玲和撮影)

 ガーツ氏は「融和的な関与を土台とした過去の対中政策は、30年にわたるギャンブルだった。中国を核武装した共産主義独裁国家ではなく、普通の国であるかのように見なし、関与が中国を変えると期待した。だが、このギャンブルは完全に失敗した」と、歴代米政権の対中政策を厳しく批判した。

 これに対し、トランプ米大統領はレーガン元大統領が「力による平和」を掲げてソ連と対峙(たいじ)したように、強い姿勢で中国に立ち向かっていると高く評価。軍事力を強化する一方で、公正で現実的な関係を目指すトランプ氏の対中政策は「米国と世界に大きな利益をもたらすだろう」との見通しを示した。

 ガーツ氏は、トランプ氏が中国製品に関税を課すなど貿易戦争を仕掛けていることについて、「経済安全保障を国家安全保障と結び付けている」と指摘。特にトランプ政権の対中政策が歴代政権から大きくシフトした例として、中国の経済スパイ活動を積極的に刑事事件化していることを挙げた。

 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の逮捕は「異例の措置」であり、「米国がなぜ中国軍と結び付いた華為技術に懸念を抱くのかを浮き彫りにするだろう」との見方を示した。

 ガーツ氏は軍事担当記者として、特に中国軍事動向に関して数々のスクープ記事を飛ばしてきたことで知られる。