トランプ政権、武器輸出促進へ規制を緩和


軍需企業からも強い期待

 規制緩和、煩雑な手続きの撤廃を進める米トランプ政権は、米製兵器の海外売却への規制の緩和を進め、最新兵器の国際市場への売り込みを加速させようとしている。

 米政府は「バイ・アメリカ」計画の策定を進めており、米軍需企業はこの計画によって、武器輸出規制の緩い他国に対する不利な状況が解消されることに期待している。外交官、武官らも、この計画の一環として米製軍需物資を積極的に宣伝するよう求められているという。

 トランプ氏はこれまでの大統領と違い、米製兵器の優秀さを積極的に宣伝し、外国軍に購入を呼び掛けてきた。訪米したソルベルグ・ノルウェー首相との会談でも、同国が、米ロッキード・マーチン社の戦闘機F35、40機の導入を決めたことを高く評価。「米国が世界最高の軍事装備をつくり、そちらが買って、米国が感謝する。これこそが仕事だ」と述べている。

 米国は依然、世界最大の武器輸出国だ。世界の軍隊が使用している兵器、装備の3分の1は米国製。約100カ国で使用され、とりわけ、攻撃機、精密誘導兵器、ミサイル防衛システムなどで最大のシェアを占めている。しかし、近年、サイバー戦、無人機などの分野で米国の優位を脅かす外国企業が出現している。

 また、軍事費が抑制されてきたことで、軍需企業大手、ロッキード・マーチン、ボーイング、レイセオンなどは、アジア、中東へ販路を拡大せざるを得なくなっている。

 武器輸出規制緩和の動きは、米経済を活性化し、貿易赤字を縮小するというトランプ氏の選挙公約の一環。米軍需企業筋がワシントン・タイムズ紙に語ったところによると、軍需企業は、規制緩和で、従来の法律、規則で導入できなかった国に兵器を売却する道が開けるのではないかと強い期待を抱いているという。

 また、米軍需産業は、中国などの競合国から強い圧力にさらされている。武器市場で米国にとって重大な脅威となっている国々の中で、最大の成長を遂げているのは中国だ。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の分析によると、中国の国際武器市場でのシェアは、2017年から11年にかけて3・8%だったが、12年から16年は6・2%に増加。これによって中国は、フランス、ドイツと並ぶトップクラスの武器輸出国になった。

(ワシントン・タイムズ特約)