クルド独立問う住民投票に反対、米大統領特使が表明


 過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦の有志連合の調整を行うマクガーク米大統領特使が13日、国務省での会合で、米国と同盟国は、イラク北部のクルド自治区で9月に実施が予定されている独立の是非を問う住民投票を支持しないことを表明した。

 マクガーク氏は「イラク憲法のもとで、重要な対話プロセスを進めねばならず、このような早いタイミングで、しかも係争地でもある地域で住民投票を行うことは、重大な不安定要因になると思う」と、住民投票への反対を明確にした。

 投票が実施され、その後のクルド自治区の独立につながることになれば、ISからイラク第2の都市モスルを奪還したばかりのイラクで「重大な不安定要因」になりうる。モスル奪還は、有志連合が2年前に本格的に開始したIS掃討作戦の中で最大の成果だ。

 マクガーク氏は、米国が各勢力をまとめ上げて作った連合はもともともろく、クルド自治政府が独立を目指せば、連合は崩壊し、IS掃討戦での勝利が失われる可能性があると指摘した。

 イラク政府は、IS掃討後のイラクで、対立する各勢力が受け入れ可能な体制を作ろうとしており、このタイミングで住民投票が実施されれば、イラク政府は政治的に難しい立場に立たされることになる。

(ワシントン・タイムズ特約)