オバマ氏は最悪の米大統領
群雄割拠した国際情勢
指導力回復できる人物必要
最近、アメリカの首都ワシントンでオバマ大統領は最悪の大統領であるかどうかということがマスコミの間で問題になり、三大テレビ局の一つ、ABCもニュースの時間に大々的に取り上げたほどである。事実、彼が大統領になるまでアメリカは世界唯一の超大国だと言われていた。ところが、彼が大統領になって以来、アメリカを超大国と呼ぶ人はいなくなった。
アメリカは彼が大統領になってからも、軍事力、経済力の点で、ブッシュ前大統領時代と変わりなかった。そして世界の平和と安全、秩序を維持する役割を果たしてきた。変わったのは最高指導者である大統領である。ブッシュ大統領までは、どの大統領もアメリカの力をどのように使うかという指導力を持ち合わせていた。
ところが、オバマ大統領にはそのような指導力がない。このため世界情勢は群雄割拠の状態になってしまった。それはクリミアへの軍事的介入の問題を見ても分かる。
アメリカはクリミアに対するロシアの介入に反対で、オバマ大統領は電話でロシアのプーチン大統領にこの旨を伝えようとした。対するプーチン大統領の態度は、対等の大統領同士の会談であるというよりも、明らかに「アメリカ国民の支持さえ得ていない大統領に何を言っても無駄だ」という高圧的な感じを与えるものだった。事実、オバマ大統領には指導力がない。
彼はアメリカでの最初のアフリカ系市民(黒人)の大統領であるが、アフリカ系市民は元奴隷の子孫が多く、生活水準も低い。従って彼は、この生活水準の差をなくそうという意識が強いようである。このために彼は毎年大幅な赤字予算を組んで、これを実施してきた。ところが、これにより米政府は赤字のため破産寸前までいったし、彼には明確な経済政策がないためにアメリカ経済は沈滞状態に陥った。
アメリカ政府を破産状態に追い込んだことは極めて深刻な事態で、アメリカの通貨ドルの価値も大幅に落ちてしまった。それまでは、どの国もアメリカのドルを欲しがっていたのが、中国政府やインド政府のようにドルを保持するのをやめて、金に換える動きが出てきている。
アメリカの主たるマスコミ、例えばニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ロサンジェルス・タイムズなどは、元来民主党支持で、大統領選挙となると、その支持が露骨に出ることもあって、一昨年の大統領選挙では、彼が再選された。
第二次大戦後の大統領にカーター氏がいた。彼は最も無能な大統領だと言われた。当時ソ連が中米やアフリカに勢力を伸ばしていたが、カーター大統領はそれを阻止する手を全く打たなかったから、アメリカは国際的に一層不利な立場に陥れられた。その彼でさえアメリカ自体を弱体化させるようなことはしなかった。ところがオバマ大統領には正しい意味での指導力がないために、アメリカのドルの国際的価値を下落させるようなことをして、アメリカを一層苦境に陥れた。
現在のアメリカは指導力の欠如した大統領が5年以上も続いているために、様々な点で苦境に陥っているのであるから、何としても指導力を持つ人間が大統領になることが望ましい。従って、現在アメリカが最も必要としているのは、アメリカの国力を回復させる指導力を持った大統領である。そこで注目されるのは、再来年の秋に行われる大統領選挙で、誰が選出されるであろうか、ということである。
民主党で注目されるのが、最初の女性大統領になる野心を抱き続けているヒラリー・クリントン女史である。彼女の知名度は抜群であるが、最近、彼女の野心に対する反感が、ハリウッドの大口選挙資金寄付者の間でも強くなっているし、彼女の夫、クリントン元大統領がアーカンソー州知事時代に行った汚職が、ちらほらと報じられている。
では、クリントン女史の指導力の方はどうだろうか。6年前の大統領選挙で、彼女は民主党からの候補としてオバマ氏と争って敗北した。勝ったオバマ氏は党内の結束を維持するために、政敵であったクリントン女史を国務長官に任命した。そのクリントン女史であるが、彼女は常に陽の当たる場所に出ていたいという気持ちが強い。そこで国務長官になるや、やたらに海外に出て、諸外国の首脳や外相と会談を行った。ところが彼女は国務長官としての4年間、見るべき業績を残さなかった。ということは、彼女にも指導力がないことを意味する。現在のアメリカは指導力を持った大統領を必要としているので、彼女の将来は現段階では何とも言えない。
一方、共和党は、ブッシュ前大統領の弟で、フロリダ州の知事をしていたジェブ・ブッシュ氏が慎重に出馬を検討している。彼は以前からブッシュ前大統領よりも優秀だと言われているだけでなく、知事としても、特筆すべき業績を残しているから、有力な候補になるであろう。
(なす・きよし)






