大統領選不正疑惑 見過ごせば米民主主義は崩壊
米大統領選は、投票から1カ月以上が経過したが、いまだに勝者が確定していない。米主要メディアはバイデン前副大統領が勝利したとしているが、トランプ大統領側は大規模な選挙不正があったとして、法廷闘争に訴え最高裁まで争う姿勢だ。
開票作業の映像公開
一方でトランプ陣営は、ペンシルベニア、アリゾナ、ジョージアなど激戦州で選挙不正を問う公聴会を開いた。公聴会では不正の目撃者や統計の専門家らの証言が数多く出ており、明らかな不正があったとして州議会が選挙人を選ぶ動きが出ている。議会と州政府が異なる選挙人を決め、選挙人が確定しない可能性があり、14日の選挙人による投票で勝者が決まるかどうか予断を許さない。
不正の訴えについては、疑惑の集計機ドミニオンの調査に前向きな裁判所もあれば、訴えを退けるケースもあり、一筋縄にいかないことを示している。メディアは、最初からまともに取り合おうとしない。本来、司法とは別に、重大な疑惑の追及を使命とするメディアが、民主主義の根幹に関わる問題だというのに扱おうとしないのは、異常な事態と言わざるを得ない。
メディアは「証拠がない」とするが、ジョージア州で開かれた公聴会では、フルトン郡の開票所で、深夜いったん開票作業を中止し集計作業員や監視員らを帰らせた間に、不正に開票が行われていたことを示す監視カメラの映像が公開された。映像には4個のスーツケースから投票用紙とみられるものが取り出される場面も記録されている。この時間帯に大量のバイデン票がカウントされたことを示すデータも報告された。
これは無視できない物証だ。数学的に明らかに不正が行われたとみられるデータも数多く報告されている。同じ投票用紙を何度も集計機にかけていたなどの目撃証言も多い。宣誓供述書を提出しての勇気ある証言であり、軽く捉えるべきではない。
バー司法長官は「いまのところ選挙結果を覆すような不正の証拠は出ていない」と言うが、どこまで積極的に捜査しているのか疑わしい。これだけの証拠があるにもかかわらず、メディアが取り上げず、司法が動かないとすれば、米国の闇は深いと言わざるを得ない。
トランプ氏は2日、46分間にわたるビデオ演説の冒頭で「これまでで最も重要な演説かもしれない」と述べ、不正の事例を具体的に列挙。「大統領として、私には米国の法律と憲法を守ること以上に大きな義務はない。それが私が、現在組織的な攻撃と包囲下にある私たちの選挙制度を守ると決心する理由だ」と強調した。
国民の融和は遠い話
4年後の大統領選への出馬に言及するメディアもあるが、不正問題がこのままうやむやとなれば、二度と公正な選挙を期待することはできない。米国は独裁国家と変わらない立場に堕ちてしまうだろう。
少なくとも、米国有権者の半分以上が不正があったとみており、バイデン氏が大統領に就任しても支持をつなぎとめることは難しい。米国民の融和などは遠い話である。