米大統領選は終わっていない、「陰謀論」で済まない不正疑惑
特別編集委員 藤橋 進
今月3日に行われた米大統領選挙は、バイデン元副大統領が「勝利」宣言し、政権移行のプロセスが進んでいるかのように日米の大手メディアは報道しているが、バイデン氏の勝利は確定していないし、大統領選は終わっていない。
次期大統領が決まるのは、12月14日の選挙人の確定においてであり、トランプ大統領側は、幾つかの激戦州で大規模な不正があったとして、訴訟を起こしている。それでも決まらない場合は、下院議員の投票に持ち越される可能性もある。
にもかかわらす米国の主要リベラルメディア、それをなぞるだけの日本のメディアは、「バイデン次期大統領」などと表記し、バイデン勝利を既成事実化することに躍起になっているように見える。
26日の選挙後初の記者会見でも、選挙人投票で敗れた場合ホワイトハウスを去るかの質問に、トランプ氏が「もちろんそうする」と答えたのを捉え、あたかも敗北を認めたかのように報じた。
しかし、トランプ氏は当たり前のことを言っただけである。続けて「敗北を認めるのは非常に難しい。多くの不正行為があったことが分かっているからだ」と述べたところがポイントだ、と後でツイッター上で説明しなければならなかった。
メディアは、トランプ氏に敗北を認めさせようと、陰に陽に圧力を加えている。他の共和党候補だったら、紳士ぶって早々と負けを認めていたかもしれない。しかし、トランプ大統領は、エスタブリッシュメントを背景にした大統領とは違い、キリスト教福音派や労働者など草の根の支持層に基盤を置いた、別格の強さと信念がある。
米国のCNBCの最新の世論調査でも、トランプ氏に投票した人の73%はトランプが勝利したと考えており、敗北宣言すべきだと考える人は3%にすぎない。米国の大地にしっかりと根を下ろしたトランプ支持層は全く揺らいでいないのだ。
不正があったとする主張は、「証拠を示さずに」を枕詞(まくらことば)のように報じられたが、最初から手の内を明かすようなことはしないだろう。今のところ民主党系裁判官の多い、下級審では訴えの多くが退けられているが、それは織り込み済みで、当初から言っていたように、連邦最高裁まで争うことになるだろう。
本紙既報のように、ペンシルベニア州ゲティスバーグで行われた共和党上院議員らによる公聴会では、短時間にバイデン氏に約60万票が集計され、その間トランプ氏は3200票だけだったなど、驚くべき疑惑の証言がなされた。
シドニー・パウエル弁護士らが、25日に、ジョージア州とミシガン州の裁判所に、大規模な選挙不正があったとする訴状を提出した。訴状では、ドミニオン社製の投票の集計機械による大規模な不正を統計学や数学の専門家の証言を基に告発している。同氏が告発するように、集計機がインターネットで外国を含む外部と繋(つな)がり不正に操作されていたとしたら、まさに安全保障上の大問題だ。
ミシガン州で急にバイデン票が伸び逆転した「バイデンジャンプ」などは、数学的にもあり得ないことと専門家は証言している。
これらの疑惑は、「陰謀論」の一言で退けられるものではない。歴史を振り返れば、謀略の限りを尽くしてきたのが国際政治の現実だったではないか。
ほかにも郵便投票の数が、登録された数よりも多かったとか、常識と算数ができれば、疑ってみる合理的理由のあるものだ。
これだけ不正の存在を疑う人々がいるにもかかわらず、それをうやむやにし、疑わしい数字に満ち溢(あふ)れた選挙結果を認めたなら、バイデン氏が言う国内融和など不可能であり、米国の亀裂はより深まっていくだろう。
公正な選挙によって保証される米国の民主主義への信頼は失われ、民主主義の価値そのものを揺るがしかねない。まさに、中国など独裁国家の思うつぼである。