治安関連法案に抗議デモ フランス


警官の顔撮影禁止に反発

 フランス政府が提出した治安関連法案に対する抗議デモが28日、パリなど全国各地で実施された。内務省によると、約13万3000人が参加した。

8日、パリで、新法案に反対しデモを行う人々(時事)

8日、パリで、新法案に反対しデモを行う人々(時事)

 法案には、警官らの姿を撮影した画像の拡散を禁止する条項などが盛り込まれている。抗議デモなどで、暴徒化した参加者を取り押さえる警官や憲兵隊の顔写真が、SNSなどで拡散し、危険にさらされている警官を守るのが目的の法案だが、反対派は表現や報道の自由を制限し、警官の横暴を野放しにする恐れがあると反発している。

 ロックダウン(都市封鎖)中のフランスでは28日から店舗が再開し、移動制限も緩和されている。パリ警察は当初、デモ会場を市中心部の共和国広場に限定していたが、行政裁判所の判断によって主催者の申告通り、バスチーユ広場までの行進が許可された。

 デモには、ジャーナリスト組合や人権団体関係者などを中心に、左派系議員なども加わっている。

 パリ中心部では23日、難民キャンプの撤去現場で複数のジャーナリストが警官から暴力的な扱いを受けたとされる映像がSNS上で拡散。マスクをせずに路上に立っていた黒人の男性音楽プロデューサーが屋内に逃げ込んだところで警官らに集団暴行された様子の動画がネット上に拡散し、警官による有色人種への暴力が批判されている。

 政府が法案の変更の検討に入る一方、野党・中道右派の共和国連合など保守系政党は法案に賛成している。

(パリ 安倍雅信)