米軍事力は依然「最低限」
保守系シンクタンクが報告
ロシア、中国が軍事力を向上させている一方で、米軍の能力は「最低限」にとどまっている。米保守系シンクタンク、ヘリテージ財団国防センターは17日、最新報告「2021年米軍事力指標」でこのような評価を下した。
報告は「現在の米軍は、(米国の国益を守るという)要請に最低限の対応しかできない」と深刻な現状を訴えている。
下院軍事委員会のソーンベリー委員(共和)は報告の公表を受けて、「あるべき姿ではない。連邦政府は国民、将来の世代に『普通の防衛力を提供する』責務を果たしていない」と懸念を表明した。
報告によると、陸軍は寄せ集めで、能力は「最低限」であり、その規模は望まれる水準の70%。海軍も昨年と同様「最低限」と評価され、「少なくとも400隻の艦艇が必要。現在は300隻あるが、老朽化が進み、ドックは満杯で、国益を守るには不十分」としている。
海兵隊も「最低限」だが、昨年の「弱い」から改善、空軍は昨年と同様「最低限」で、元海兵隊将校で報告を作成したアナリスト、ダコタ・ウッド氏は、パイロットが不足し、飛行時間も不十分と指摘、「冷戦時、空軍、海軍パイロットの年間飛行時間は200時間以上だった。150時間程度では、実際には配備できるとは思えない」と厳しい現状を明らかにしている。
同財団の米軍事力に関する年次報告は今回が7回目。
報告は、最初の報告以降、米国の軍事力は確実に弱くなっていると指摘、財団のケイ・ジェームズ所長は「深刻に捉えている」とした上で、「政策立案者が現状をよく知り、国民が選出した代表者に説明責任を果たさせることに役立つことを望む」と述べている。
(ワシントン・タイムズ特約)