ICBM迎撃実験 初成功
海上からも可能、北朝鮮牽制
米国防総省ミサイル防衛局は17日、日本と米国が共同開発したイージス艦搭載迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の迎撃実験に成功したと発表した。SM3ブロック2Aはこれまで中距離弾道ミサイルを迎撃する実験を実施しているが、ICBMの迎撃実験は初めて。
日米共同開発ミサイル
北朝鮮は先月、朝鮮労働党創建75周年を祝賀した軍事パレードで新型ICBMを公開したばかり。米国は、アラスカやカルフォルニアに配備する地上発射型の迎撃ミサイルに加え、海上のイージス艦からもICBMを撃ち落とす能力を示すことで、本土防衛能力を強化し、北朝鮮を牽制(けんせい)する狙いがある。
同局によると、実験では16日、太平洋のマーシャル諸島から発射されたICBMに見立てた標的を、ハワイ沖のイージス艦「ジョン・フィン」から発射したSM3ブロック2Aで迎撃した。2基の早期警戒衛星が探知したICBMの追跡情報を使用して迎撃は実施された。
ミサイル防衛局のヒル局長は声明で「素晴らしい偉業であり、重要な節目だ」と称賛。探知、追跡能力をさらに強化することで「ミサイルの脅威の予期しない進展に対する防止策となる」と述べ、北朝鮮のミサイル開発を念頭に、抑止力強化に期待を示した。
SM3ブロック2Aは米防衛大手レイセオンと三菱重工業が共同開発した。実験は当初5月に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期されていた。
SM3ブロック2Aは海上自衛隊のイージス艦にも配備される予定で、自衛隊の迎撃能力が強化されることになる。また、日本が配備計画を停止した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」からの発射もできる。
(ワシントン 山崎洋介)