見直されるホームスクール、新型コロナで学校閉鎖の米


 ディエゴ、ケリー・ボカネグラ夫妻は2年余前、テキサス州ヒューストン郊外の自宅で娘のイサベラさん(10)と小学1年生の息子ルカ君を、自宅で教育することを決意した。イサベラさんが免疫疾患セリアック病で、小麦などに含まれているグルテン抜きの食事を続ける必要があったからだ。

 「どこから取り掛かったらいいのか見当もつかず、外に出て本をひと山買って、自分なりのものを見つけ出そうとした」とケリーさん。

 今、新型コロナウイルス感染防止のため、学校が閉鎖され、ホームスクール(在宅教育)のために台所や居間を即席の教室にしようとしている全米の親の間でケリーさんは「ホームスクールの権威」となっている。

 全米教育統計センター(NCES)によると、全国の小中学生5600万人の3%に当たる170万人がホームスクール経験者。教育専門サイト「教育ウィーク」の試算によると、学校閉鎖の影響を受けている小中学生は4100万人におよぶ。

 ディエゴさんはフェイスブックに投稿した動画で、ホームスクールを始める親に「まず深呼吸しましょう。子供たちは柔軟性に富んでいますが、新たな現実に適応するのにある程度時間がかかります。私たちは2年続けてきましたが、2年たてばもっと楽になるでしょう」とあいさつ、アクセスが殺到した。

 ホームスクールは1960年代から始まった。当時、公的な場での祈祷(きとう)が禁じられるなど、公教育は世俗化の一途をたどっていた。危機感を抱いた一部の親がホームスクールを始め、アベカ出版がキリスト教徒向け教材を供給した。

 一方、多くの公立校区は新型コロナによる休校で、スクーロジー、ムードル、グーグルクラスルームといったオンライン学習管理システムを活用して、授業に遅れないように要請している。全米ホーム教育調査研究所(NHERC)は、個別教育と安全性の観点からホームスクールの利点を挙げている。

 「伝統的学校教育の枠外で、よく育った子供たち」の著者ケリー・マクダネル氏は「ホームスクールは親に学校なしでも効果的に学習できる道があること示す意義がある。とりわけ、これまでの教室とカリキュラムに縛られていては得られない情熱と自由が得られるなら」と述べた。

(ワシントン・タイムズ特約)