中国企業に米子会社売却命令


米、顧客情報の流出懸念

 トランプ米大統領は、米国の安全保障上の脅威となる可能性があるとして、ホテル業界向け情報システムの開発・販売を行う中国の「北京中長石基信息技術」に、子会社の米ステインタッチ社の全資産を手放すよう命じた。米政府は2月13日、外国からの投資案件を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化する新規則を試行しており、今回が適用第1号となる。

 ステインタッチは、スマートフォンやタブレットでホテルの情報管理を行うシステムを開発しており、石基が2018年に買収した。システムを通じて顧客情報などが中国側に流出すれば、悪用される可能性があると米政府はみている。

 トランプ氏が6日に署名した大統領令は、不正行為に利用され得る「信頼できる証拠」があるとしており、4カ月以内の売却を命じた。

 中国専門家のアンダース・コー氏は、「中国の情報機関は、標的とした政治家、実業家、外国の工作員らの名前をハッキングプログラムに入れ、クレジットカードの使用、旅行先、朝食に何を食べたかまで、リアルタイムでその動向を入手できるようにしようとしているようだ」と指摘、流出した情報が「政治家、企業の幹部などへの脅迫に利用される可能性がある」と警告した。

 ステインタッチ買収は、中国の国家保安省など情報機関による情報収集の一環とみられ、中国専門家で元国務省高官のジョン・ケーシック氏は、大統領令は、中国がホテルに関する情報を収集しているという情報に基づいたものとの見方を示した。

(ワシントン・タイムズ特約)