トランプ政権3年、評価できる一連の対中政策


 トランプ米大統領はきょう、就任から3年を迎えた。11月3日の大統領選に向け、与党共和党、野党民主党の激しいつばぜり合い、舌戦が既に演じられている。

支持層の心をつかむ

 直近の調査では、トランプ氏の支持率44%に対し、不支持率は53%に上っている。再選に向けて予断を許さない状況ではあるが、2016年大統領選ではメディアの予想に反して当選している。

 共和党員では9割前後がトランプ氏を支持し、結束は固い。相次ぐ暴言で各方面から強い反発を招きつつも、確実に支持層の心をつかんでいると言える。

 上院では、トランプ氏のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判が開廷した。もっとも、53人と多数派の共和党の上院議員の中でトランプ氏罷免を支持する議員は現状ではおらず、3分の2以上の賛成で有罪となる可能性はほぼない。

 トランプ氏は昨年6月、20年大統領選への出馬を正式に表明。「米国を再び偉大にする」という公約は達成したとして、新たに「米国を偉大なままに」をスローガンに掲げた。

 「米国第一」の方針の下、強い米国を目指してきたトランプ氏は、内政では連邦最高裁に2人の保守派判事を送り込み、壁建設などの不法移民対策を強硬に推進。また雇用拡大につながる政策を重視し、約30年ぶりとなる大型減税を断行した。

 外交では「力による平和」を推進し、中国とロシアを国際秩序の現状変更を目指す「修正主義勢力」と批判。「米軍再建」を掲げて国防予算を増やした。また、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄して新型ミサイルの開発を本格化させ、中露による宇宙の軍事利用に対抗して「宇宙軍」を創設。一方、核・ミサイル開発を進める北朝鮮との史上初の首脳会談を実現させた。

 中国に対しては、知的財産権侵害を理由に制裁関税を発動。香港のデモ抑圧やウイグル族弾圧を非難し、香港の自治と人権を守るための香港人権・民主主義法を成立させたほか、下院ではウイグル族への恣意(しい)的な拘束や拷問の中止を要求する法案も可決している。一連の政策は、米国と同盟を結び、民主主義や人権などの価値観を共有する日本としても評価できるものだ。

 一方の民主党では現在、13人が大統領選候補指名を争う展開となっている。中道派のバイデン前副大統領と左派のサンダース上院議員が根強い支持でレースを主導。新鋭のブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長が一部州で勢いを見せ、旋風を巻き起こすかが注目されている。

 だが、民主党候補の一本化には時間がかかるだろうというのが衆目の一致するところだ。予備選は2月3日のアイオワ州党員集会で開幕するが、7月の党大会の代議員投票で候補が決まるかもしれない。

再選後のレガシー語れ

 こうした民主党の混迷と好調な米経済が、トランプ氏には追い風になっている。再選後のレガシー(政治的遺産)となる政策が何であるかをもっと語るべき時期に来ていると言えよう。