米大統領選 外交政策への影響に注視を


 トランプ米大統領の4年間の政権運営に対する審判となる大統領選が11月3日に行われる。共和党のトランプ氏が再選を果たすのか、野党民主党がホワイトハウスを奪還するのか。米国民が下す選択は国際秩序を大きく左右するだけに、2020年は米国政治から目が離せない1年となる。

 保守鮮明のトランプ氏

 前回大統領選では、共和党はトランプ氏の特異なキャラクターに戸惑い、決して一枚岩ではなかった。だが、最近の世論調査では、共和党員の9割前後がトランプ氏を支持しており、同氏の下で結束していることがうかがえる。物議を醸す言動に注目が集まるトランプ氏だが、政策面では保守路線を鮮明にしており、大型減税や保守派判事の起用など公約を着実に進める「有言実行」の姿勢が党内の信頼を勝ち取った。トランプ氏の選挙基盤は前回よりも強固になったと言っていいだろう。

 一方、民主党の大統領候補指名争いは依然、14人が争う混戦が続く。支持率トップのバイデン前副大統領は77歳と高齢、サンダース、ウォーレン両上院議員はリベラル過ぎる、急浮上してきた37歳のブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長は経験不足と、どの候補も致命的な欠点を抱えている。一致して推せる本命候補がいない民主党は、トランプ氏支持で結束が進む共和党とは対照的だ。

 指名争いは2月3日のアイオワ州党員集会からスタートし、14州で予備選が行われる3月3日の天王山「スーパーチューズデー」へと続いていく。今のところ混戦を抜け出す候補が現れる気配はなく、泥沼の長期戦になっていく可能性がある。

 日本が注視すべきは、大統領選が米外交にどのような影響を及ぼすかだ。トランプ氏にとっては再選が最重要課題であり、選挙戦略上の計算が外交政策を左右することも考えられる。

 国際的な危機が再選戦略に悪影響を及ぼすのを避けるため、トランプ氏は今年、緊張をエスカレートさせる行動は控えるだろうとみられていた。それだけに、イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を空爆で殺害する命令を下したことは大きな衝撃を与えた。

 大統領選を前に「守り」に入るトランプ氏の立場を見透かすように、イランは挑発行為を繰り返していた。空爆はそうした流れを断ち切る思惑もあったとみられる。米国から譲歩を引き出そうと挑発的言動を強める北朝鮮に対する強烈なメッセージにもなったことは間違いない。

 ただ、イランで英雄視されていた司令官を殺害したことで、中東情勢は一気に緊迫化した。イランが報復に出れば本格的な軍事衝突に発展することも否定できない。もしそうなれば、中東での戦争に疲れる米国民の批判を招くことも考えられる。

 米中の対立構造変わらず

 対中関係では貿易協議が「第1段階」の合意に達したが、好調な米経済の足を引っ張っていた貿易戦争を大統領選前に一時休戦させたという側面が強い。トランプ政権は対中政策を「協調」から「競争」へと転換しており、基本的な対立構造は変わっていないとみるべきだ。