米とタリバンの直接交渉に懸念 アフガン駐米大使、政府参加を求める


 アフガニスタンのラマニ駐米大使は、ワシントンでの一部メディアとの会合で、米政府が反政府組織タリバンと進めている直接交渉について、アフガン政府が情報提供を受けておらず、正統政府が参加しないどのような和平合意も国民の支持は得られないと懸念を表明した。

 ラマニ氏は「アフガン政府は、交渉について十分説明を受けていないと感じている」と指摘、「交渉を持続性のあるものにするには、アフガン国民の関与が必要」と、交渉への政府の参加を求めた。

 タリバンは、交渉の一方でテロ攻勢を強めている。今月に入って、アフガン治安部隊が攻撃を受け10人が死亡、首都カブールの国際援助団体本部では5人が死亡した。ラマニ氏は「タリバンが、テロを影響力を行使するための手段としていることは明らか」と主張、「(直接交渉によって)タリバンは士気を高めている」と不満を表明した。

 ラマニ氏の発言は、和平交渉をめぐって両国間の不信感が強まっていることを示すもの。トランプ米大統領は、アフガンからの早期の米軍撤収を目指しており、米国のハリルザド・アフガン和平担当特別代表主導で、前例のないタリバンとの直接交渉が進められている。

 ハリルザド氏は、今月に入ってカタールで行われた6回目のタリバンとの交渉の場で、最終合意にはタリバンとアフガン政府との直接交渉が不可欠と主張したが、タリバンは拒否しており、打開の糸口は依然、見えていない。

(ワシントン・タイムズ特約)