トルコ空港テロ、国際社会は連携し対策強化を


 トルコ・イスタンブールのアタチュルク国際空港で大きな爆発と銃撃が起き、40人以上が死亡した。

 無辜(むこ)の人々を無差別に殺傷する卑劣なテロは、決して許されない。

 「イスラム国」の犯行か

 アタチュルク空港はトルコ最大で、欧州でもロンドンのヒースロー空港、パリのシャルル・ドゴール空港に次いで3番目に利用者が多い。犠牲者にはトルコ人のほか、サウジアラビア人やイラン人などの外国人が含まれているという。国際ハブ空港での凶行は、トルコの主要産業である観光業などに影響を与えよう。

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28日、トルコのイスタンブールで、テロが起きたアタチュルク国際空港の入り口付近で抱き合う女性(AFP=時事)

 犯行声明は出ていないが、トルコ当局は過激派組織「イスラム国」(IS)の犯行との見方を強めている。市民を無差別に狙う手口は、3月にベルギーのブリュッセル空港で起きたISによるテロと似ている。

 自爆した実行犯3人の国籍はロシア、ウズベキスタン、キルギスだという。3人はISが「首都」と位置付けるシリア北部ラッカからトルコに渡ったとみられる。

 トルコのユルドゥルム首相は「1人が外で自爆し、残りの2人がパニックに乗じて中に入り自爆した」と述べ、周到に準備されたテロだったとの認識を示した。

 トルコでは昨年10月に首都アンカラで約100人が死亡した自爆テロなど、ISや反政府武装組織クルド労働者党(PKK)によるテロが相次いでいる。トルコが昨年夏、IS拠点の空爆やPKK掃討に踏み切ったことへの反発だろう。

 ISはトルコや米軍主導の有志連合による攻撃などで、支配地域の縮小を余儀なくされている。先月にはイラク軍の攻勢で、中部の要衝であるファルージャを失った。ISが焦りを募らせ、テロによって報復に出た可能性もある。

 イスタンブールの警察は市内16カ所で一斉摘発を行い、今回のテロに関与した疑いで、IS戦闘員とみられる13人を拘束した。全容解明を急ぐとともにテロ対策の一層の強化が求められよう。

 トルコの空港は欧州から若者が内戦下のシリアに入る経由地となっている。空港警備や出入国者の検査などで欧州連合(EU)諸国との協力の必要性が高まっている。

 一方、トルコのエルドアン大統領は政権に批判的なメディアを政府の管理下に置くなど強権的な手法の目立つことが懸念される。これによって新たなテロを生じさせることがあってはならない。

 昨年11月のパリ同時テロや先月の米フロリダ州のテロでも多くの犠牲者が出た。国際社会が連携してテロを封じ込めなければならない。

 情報機関設立の検討を

 2020年東京五輪を控える日本にとっても、テロの脅威は人ごとではない。未然に防ぐには、情報収集力の強化が欠かせない。

 テロなどの謀議に加わっただけで実行に至らなくても処罰対象にできる共謀罪の創設、さらには本格的な情報機関の設立を検討する必要がある。