【地球だより】故人を偲んでーイスラエルから


イスラエル

イスラエル

 つい先日、娘のクラスメートの親であるユダヤ人の友人から、携帯に突然メッセージが来た。9月のイスラエル新年以来だなと思いながら読んでみると、数日前におじいさんが亡くなったという知らせだった。
 娘が小学校に入学した日から、家族ぐるみで交流のあった家庭だ。父方母方のおじいさんやおばあさんにもお目にかかり、私たち家族をいつも親戚のように迎えてくれた温かい人たちだ。連絡をもらったその日の夕方に、家族みんなでお悔やみに行った。

 イスラエルでは、人が亡くなると、基本的にその日のうちに土葬する。そして遺族は、シヴァと呼ばれる7日の期間を喪に服し、故人の死を悼む。自宅では、遺族が弔問に訪れる人たちを迎え入れて、故人との思い出などを語り合う。

 74歳で亡くなったおじいさんは昔、警察の音楽隊に所属していて音楽をこよなく愛する人だった。私たちが祝日で招待された時には、よくハーモニカで日本の「さくらさくら」を吹いて楽しませてくれた。その娘である友人は、ハーモニカを演奏しているおじいさんのビデオを見せてくれながら、涙をこぼしていた。

 残されたおばあさんは、ご主人が肺の病気を患い病院で亡くなったと話し終えると、結婚式の時の写真を見せてくれた。粋な口ひげを生やしたご主人とフランス人形のように愛らしい奥様が写っていた。おばあさんにハグをして、家を後にした。サンタクロースのようなおじいさんの笑顔がとても懐かしく思い出された。

(M)