韓日対立の根本的な解決法とは


韓国紙セゲイルボ

今回を契機に日本を研究せよ

 2016年、東京で韓日言論人フォーラムが開かれた。慰安婦合意の翌年であり、日本が韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)締結に積極的なので、関係改善に対する期待感のある時でもあった。

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文在寅大統領の対日発言を報じる韓国各紙=16日(時事)

 しかし、日本側は思いのほか冷淡だった。過去問題の話になると、日本側は、「いつまで謝罪しなければならないのか」と言った。フォーラム前に会った日本の政治学者は、韓日関係が2012年以前の状態には戻れないと断言した。李明博大統領の独島(竹島)訪問と天皇謝罪要求が日本に与えた衝撃が大きかったのだ。在日韓国人は日本の反韓情緒について、「こういうことはかつてなかった」と憂慮した。日本は外から見たものと全く違った。こういう状況を放置した結果が韓日関係の現状だ。

 昨年10月、大法院(最高裁に相当)の強制徴用賠償判決が火をつけたが、政府は迅速に鎮火させなかった。日本は半導体・ディスプレーの素材輸出を規制したのに続き“ホワイト国リスト”から韓国を除くと言った。18日は強制徴用賠償判決と関連して、第3国の委員を含む仲裁委員会を設置しようという日本政府の要求に韓国政府が答えを出す期限だが、政府は受け入れない方針だ。

 参議院選挙の投開票日(21日)を控えて日本政府は追加報復措置を出すものと見られる。1997年の金融為替危機の前夜を彷彿させる。一部では参院選が終われば事態が落ち着くだろうという楽観論が聞こえるが、日本の態度から見て、今度は簡単には退かないようだ。韓日の国内政治的な要因がかみ合わされば両国関係は元に戻せない局面に陥る。

 日本が突然の輸出規制で国際サプライチェーンをかく乱した処置は明らかな誤りだが、韓国政府の対処も未熟だった。われわれは自らを省みる時だ。昨年、日本を訪問した韓国人が754万人に達するが、そこで何を見て帰ってきたのか。日本の輸出規制発表後、政府が日本の地域・産業に関する専門家を集めようとしたが、適任者を探し出すことができなかったという。実際、日本専門家は数えるほどしかおらず、彼らを組織的に活用するほどのシンクタンクもない。これだから政府の事前対応や事後対処は全て失望させられることばかりなのだ。

 作家の金源祜は散文集『日本耽読』で、韓半島で起きる事件に対する日本人の過激な関心と、全世代にわたる日本人の韓国語学習熱に注目する。「私たちは今やっと日本を知ろうとしているのに、日本は私たちを“研究”しているという印象を拭いさることができない」と言った。このままでは百戦百敗だ。

 今回の事態を契機にわれわれは気を引き締めて日本を研究しなければならない。韓日対立の根本的な解決法を捜し出し、両国関係の新しい道を開く大きい絵を描こうという話だ。まず日本がどこへ向かっているかを把握しなければならない。それでこそ、両国が共に進むことができる道を探しだせるだろう。

(朴完奎論説室長、7月16日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

いまさらの“日本研究の勧め”

 歴史は繰り返す。半島は過去に被った痛手を忘れ、日本を見くびり、都合よく楽観し、しっぺ返しを喰らうことを繰り返している。

 白村江に4万の軍勢を送った倭の実力も、博多湾で元の手先となった高麗を沈めた鎌倉幕府の決意も、半島付け根まで押し入った豊臣軍の歴戦の猛者ぶりも、国交を求めてきた明治新政府の実力も、すべて半島支配層の偏見と無知、世界情勢への暗さで判断を誤り、そのツケは住民たちに災厄として返っていった。

 サインは前から出ていた。2012年、日本の専門家やジャーナリストは「嫌韓」「韓国疲れ」の深刻さを伝えてきた。だが、自国が派遣した使者(偵察員)の報告さえまともに聞かない者が日本の声に耳を傾けるはずがない。高をくくっていたのである。

 「韓国政府は何をやっていたのか」と批判することは簡単だが、「思いのほか冷淡」な日本の状況を見ていながら、伝えてこなかったメディアの責任も大きい。

 日本に大きく依存しながら、経済を除いてはまともな日本研究が韓国にはない。そもそも日本が研究に値する対象ではないと見ていた。だから安倍政権が目指しているものも正確には理解していないのだ。

 虚心坦懐に歴史に学んで未来に備える。それができていれば、今日の状態は招かなかったが、これから、こうした論説が溢(あふ)れだしてくるだろう。

(岩崎 哲)