北核時計が回る前に韓日対立解くべき


韓国紙セゲイルボ

首脳会談、G20逃すと年末に

 北朝鮮の核問題は文在寅政権の外交政策の核心事案だ。6月にも韓米首脳会談、南北首脳会談開催の模索など大部分の大型外交日程がここに焦点を合わせている。
 しかし、2月の朝米首脳会談の決裂以降、北核問題は韓国の意思で押し通すより、下半期まで続く朝米の綱引きの間でバランスを取らなければならないというのが専門家たちの評価だ。

トランプ米大統領(右)と文在寅大統領

4月11日、ワシントンで、握手するトランプ米大統領(右)と韓国の文在寅大統領(EPA時事)

 むしろ6月には上半期の最も大きな首脳外交舞台であるG20(20カ国・地域)首脳会議を控えて、日本、中国、ロシアなど周辺4強との関係を固める必要があると指摘されている。だが、大阪G20の前に現在、確定している主要国との首脳会談日程は韓米会談だけだ。韓国外交の状況は米・中・露・日が多様な首脳会談を展開する流れとは異なる。

 27日に開催された米日首脳会談は和気あいあいのうちに行われた。ドナルド・トランプ米大統領が6月、韓米首脳会談で韓日関係などに言及する可能性が高く、6月以後にまた北核時計が回り始める前に、韓日関係再整備の必要性も提起されるのはそのためだ。

 申範澈(シンボンチョル)峨山政策研究院安保統一センター長は27日、「(6月の韓国外交において)ポイントは韓日関係」と指摘した。韓日首脳会談の契機は今回のG20を逃すと年末を待たなければならない。

 安倍晋三首相が韓日会談に否定的だというが、朴元坤(パクウォンゴン)韓東大教授は、「できないといえば、責任は日本にあるので、このような時にこちら側が攻勢的に首脳会談(提案)を出すのも良い」と話した。

 強硬一辺倒だった日本内部でもG20を控えて最近微弱だが気流変化の兆候が見える。主要メディアは最近「G20議長国の日本が韓国と対立するのは望ましくない。韓日両首脳が顔を向き合わせるせっかくの機会を生かさなければならない」という要旨の社説を載せている。

 趙世暎(チョセヨン)第一外務次官は就任後、韓日関係について、「すべての想定できるケースに備えて厳しい分析と検討をしている」と語った。

 専門家らは現在、北朝鮮の消極的な態度からして、6月の韓米首脳会談前のワンポイント南北首脳会談などは簡単ではないと見ている。それよりもむしろ疎遠になっている韓中、韓露関係の補強を助言した。特に世界経済を強打している米中貿易対立がG20の主要議題になるだけに、これを念頭に置いて韓国の実利と危険管理をまとめて模索しなければならないという指摘だ。

 朴元坤教授は、「ファーウェイ問題と関連して、米中の間で韓国がどんな立場を取るのか決めなければならない」とし、「これまで疎遠だったロシアとの関係も再整備する必要がある」と説明した。

 申範澈センター長は、「ファーウェイ制裁に対する米側の参加圧迫に中国が戦々恐々としている状況で、韓国のサード制裁も中国と交渉ができる時期」と評価した。

(ホン・ジュヒョン記者、5月28日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

解決は脇に、会談のみ望む韓国

 6月の大阪G20首脳会議を1カ月後に控えて、韓国外交は尻に火が付いた状態だ。会議を利用して各国は積極的に首脳外交を展開するが、決まっているのは米韓会談が唯一で、主催国日本との会談すら決められず、外交孤立感を深めている。政府に「なんとかしろ」というメディアの声は日増しに高まっているのだ。
 トランプ米大統領は新天皇即位と令和新時代を祝賀するため、いの一番に国賓訪問した。ゴルフ、大相撲、居酒屋は「やりすぎ」との声はあるものの、天皇陛下との会見、皇居での国賓晩餐(ばんさん)会と最上級のもてなしを受けた。格式と威厳、信愛と敬意が交わされ、日米関係の堅さを世界に見せつけた。

 韓国は焦りを一層深めた。日韓関係はいまや完全に膠着(こうちゃく)状態に陥って、解決の糸口さえ見当たらないからだ。喫緊の課題である「徴用工」関連日本企業の資産処分が迫っているが、文在寅政府は解決しようとの素振りすら見せていない。

 日本と会談できないのなら、中国やロシアとの関係を模索してはどうか、という提案もこの時期になっては思いつきの域を出ない。正面から日韓首脳会談を迫ることもなく、“手ぶら”で来て、ともかく「一人ぼっち」は見っともないから、会うだけ会ってほしいというのは失礼でもある。「実利」といいながら、その実、体裁を取り繕うだけの首脳会談を日本が受けるはずがないと韓国メディアは書くべきなのだ。

(岩崎 哲)