韓半島情勢めぐり活発な首脳外交


韓国紙セゲイルボ

激変の時期に姿見えぬ韓国政府

 韓半島周辺情勢は複雑に絡み合っている。外交現場の予測不可能性はますます濃くなっている。朝米ハノイ会談決裂以後、状況はさらに複雑になった。南北米3カ国の思惑も複雑だが、いつのまにか中露日も非核化交渉の場に姿を現して、激動する韓半島情勢への発言力を強めて持ち分を確保しようとしている。

金正恩朝鮮労働党委員長(左)とプーチン大統領

4月25日、ウラジオストクの極東連邦大学での首脳会談冒頭、握手する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とロシアのプーチン大統領(EPA時事)

 トランプ米大統領は韓米首脳会談(4月11日)に続き26日には安倍首相と首脳会談を行う。5月末には徳仁新日王(天皇)即位式に参加し、6月末には大阪で開かれるG20(20カ国・地域)首脳会議への参加を契機に日本を訪問する。トランプ大統領との親密さを証明している安倍首相はG20首脳会議を契機に中露首脳と会談する可能性が高い。

 反対側では朝中露3角軸の動きが慌ただしい。習近平中国国家主席とプーチン露大統領は25~27日北京で開かれる「一帯一路」首脳フォーラムを契機に会談するものと見られる。プーチン大統領はその前にウラジオストクで朝露首脳会談を行う。

 文在寅大統領はワシントン訪問を除けば、3月ASEAN(東南アジア諸国連合)に続き4月中央アジア歴訪を終えただけだ。韓半島の懸案に神経を尖らせている周辺諸国からは暇に見えるだろう。

 北朝鮮の動向も以前とは違う。ハノイから事実上手ぶらで帰国した金正恩朝鮮労働党委員長はしばらく落ち込んでいたが、また息を吹き返した。8年ぶりに朝露首脳会談のためロシアを訪問した。国内では最高人民会議等を通して「自力更正」を高く掲げ、“トランプ大統領のディール方式”に反発しつつも、局面を壊してはいない。崔善姫第一外務次官などを通して、ポンペオ国務長官とボルトン大統領補佐官(国家安保問題担当)を「朝米対話の場から外せ」と事実上要求したが、トランプ大統領を直撃はしなかった。トランプ大統領と参謀陣を分けて、米国側の内部離間工作に出ているのだ。“局面を壊したくない本音”はディールの達人トランプ氏と同じようだ。

 韓国政府は何をしているのだろうか。4月末、米中露日に北朝鮮まで加えて活発な首脳外交を繰り広げているのに、韓国政府は最も重要な時期に姿が見えない。激変の時期に身を隠しているのではないか。

 北朝鮮から、「差し出がましい仲裁者・促進者のように振る舞うな」とまで言われた大統領府は激変する情勢を冷静に眺めなければならない。台風と暴風雨が過ぎ去れば大きい漁場が形成される。とはいえ、何もせず暴風雨が過ぎ去ることだけを待つことはできない。単純に考えても大きい漁場が形成されるまで、ひとまず暴風雨に耐えなければならない。

 その時点に、船員らは船長に目を向けるようになる。荒波が渦巻く韓半島情勢に文在寅政権は後方を固めながら、もう一度舵(かじ)をぐっとつかまなければならない。これまでの哲学を無条件廃棄しても、既存理念だけに執着しても、国政の動力は喪失する。韓国政府が肝に銘じるべき教訓だ。

(朴ジョンヒョン外交安保部長、4月24日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。