理念的・政略的反日は災いを呼ぶ
破綻の車輪が回る韓日の未来
韓日関係が険悪だ。いくら仲が悪くてもこうまで悪かったことはなかった。どちらが臆病かを争うチキンレースをやろうというのか。
河野談話、村山談話が出た1990年代の日本と今の日本は異なる。安倍晋三首相は二つの談話をごみ箱に捨てた。日本だけが変わったのか。韓国の政治も変わった。
文在寅大統領は韓国の権力機関の体質を変える取組みに日本を巻き込んだ。「警察は(日本統治時代の)『佩刀(はいとう)した巡査』という言葉のように、国民の生殺与奪権を握っている恐怖の対象だった」。国家情報院・検察・警察の改革会議で、なぜそのような話をしたのか。そんなに変えたいなら「権力機関を侍女とする」政治権力自身の姿勢をまず変えるべきではないか。
安倍首相は韓日対立を極右政治の焚(た)き付けにしている。日本だけがそうか。韓国の政治も全く同じだ。「反日」を焚き付けにしている。韓日友好を叫べば「親日」とさえ呼ばれる。政略的な理念スローガンが乱舞する韓日の政治。その未来は何だろうか。破綻の車輪が回っている。
日本外交青書。韓国について「基本的価値を共有した隣国」という文言を外したかと思えば、昨年は「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」という表現まで削除した。韓国の国防白書は昨年、「自由民主主義と市場経済の基本価値を共有する」という表現を消した。敵の概念も変わった。敵は北朝鮮でなく「われわれの主権・国土・国民・財産を脅かし侵害する勢力」だ。今は誰が敵なのだろうか。
危険である。国の安全は危なくなっている。世界11位の経済大国というのは、滑稽な話だ。国際金融市場に“冷たい風”が1度でも吹けば韓国は投資資金の流出を心配し、国家不渡りの悪夢を思い出す。1997年(アジア通貨危機)も、2008年(韓国通貨危機)もそうだった。
日本は違う。動揺したことはほとんどない。なぜかと言えば、西側経済ブロックの一つの軸をなす艦船のような存在であるからだ。韓日対立はついに、日本の経済報復論まで生み出した。フッ化水素の輸出を止めて、韓国の半導体産業を揺さぶるのだという。“アメリカ第一”のスローガンばかりが騒がしい米国。危機の際の安全ピンが一つひとつ抜かれつつある。国際金融市場が今度、動揺すれば誰を援軍にするのか。
朝鮮の成宗王の時代。死を目前にした(文臣の最高位を極めた)申叔舟は王に最後の言葉を残した。「日本と失和するな」と。柳成龍の「懲毖録」の冒頭に出てくる言葉だ。相手を知らず盲目的に日本を見くびった朝鮮は壬辰倭乱(文禄の役)に遭った。29年後には「反清」だけを叫ぶうちに今度は丁卯・丙子胡乱(清による朝鮮征伐)に見舞われた。
極端な理念はいつも災いを呼んだ。今の反日はあまりにも理念的であり政略的だ。実事求是(事実に基づいて真理を追求すること)はどこに消えたのか。未来はどうなるのか。それが心配だ。
(姜浩遠論説委員、2月26日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。