徴用工判決で国際的地位下落が心配な韓国
民間請求権認めようと無理な解釈
日帝強制徴用被害者が提起した損害賠償訴訟で大法院(最高裁)が日本企業の慰謝料賠償を認める最終判決を下した。
同判決の核心となる争点は1965年の韓日請求権協定にもかかわらず、原告の賠償請求権が認められるかどうかだ。大法院判決が条約の解釈原則に従わずに結論を下したことは大きな問題を引き起こす。
条約の解釈は、全体的文脈と目的に照らした通常的意味(文言)に従いつつも、条約締結時の合意と交渉記録など諸般の事情と、締結以後の当事国の実行を補充的に考慮して行わなければならない。
まず、請求権協定の該当文言を見れば「締約国国民の権利」まで含んで「完全かつ最終的に解決」されると規定しており、「被徴用韓国人の未収金、補償金およびその他請求権」の返済請求がこれに含まれることを確認している。
それでも大法院の判決文は「協定文のどこにも植民支配の不法性が言及されておらず」、補償金およびその他の請求権の概念が不法行為による慰謝料の請求権までは含まない、と判示している。
不法行為の認定をめぐる韓日の激しい意見対立のため、これを明示しない代わりに包括的な「補償金およびその他請求権」という文言で、同問題を未来志向的に解決しようとしたことが全体的な文脈と目的であることを大法院は考慮していない。
さらに、締結の経緯および当事国の意思に照らしてみても判決内容には問題がある。日韓交渉の過程で被徴用者の精神的・肉体的苦痛に対する補償を韓国政府が要求し、具体的な補償金額(要求総額12億2000万㌦の30%)まで提示した事実がある。
日本側が外交的保護権放棄の代価なのか、個人の被害に対する補償を要求するものなのかを問うと、韓国政府は「国として請求するもので、個人に対する補償は国内で措置する性質のもの」と一貫して表明した。
それでも今回の判決はこの要求が政府の公式立場でなく、「交渉担当者が語った言葉にすぎず」、最初の要求金額より「はるかに少ない3億㌦で交渉が妥結した」ことを理由として、慰謝料の賠償は合意から除外する意図だったと見ている。補償金額と形式(経済協力)は結局、両国が交渉の末に意図的に定めたものであることは常識であるにもかかわらずだ。
次に、協定締結以後の実行措置を見ても、2007年韓国政府は請求権資金法を制定して、一定範囲(解放以前に死亡した者)で民間請求権の消滅を前提に補償手続きを終えるなど、長期間にわたって後続措置を取ってきた。2005年の民官共同委員会の公式意見でも、「慰安婦問題とは違って、強制動員の被害者の損害賠償請求権は3億㌦の中に包括的に考慮された」と記録されている。
心配なのは、常識的に無理な解釈まで動員して賠償判定を下した司法府と、これを履行しなければならない韓国政府の国際的地位が下落することだ。国際社会の中で韓国の司法体系を形成させていくことはグローバル化するための必須課題だ。戦後賠償問題について、国家が国民のすべての請求権を一括的に解決する、いわゆる「一括処理協定」は国際紛争の解決・予防のための方式の一つとして、当時、国際慣習上、一般的に認められた条約形式だった。
今回の判決の個別意見が、「国民の権利が最終的に解決される」という表現があるにもかかわらず、「国民の請求権を放棄する」という直接的表現ではないことを理由に、損害賠償請求を容認したことも形式論理にすぎない。
国際的な不確実性が増加しつつある状況で、すべての国家機関は平和と発展の方向を堅持しながら、相互協力と「ウィン・ウィン」を追求する国際環境構築のために努力しなければならない。さらに国家機関の基本責務である条約の解釈原則にさえ従わずに、どうして“グローバル韓国”を実現できるだろうか。徴用被害者に対しては、請求権協定を締結し実行してきた韓国政府がどんな形式であれ補償するのが当然だ。
(崔源穆(チェウォンモク)梨花大法学専門大学院教授、11月4日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。