大統領汚辱の歴史に終止符を
統治者の資質をチェックせよ
李明博元大統領が収賄、横領・背任、職権乱用など約20件の疑惑を受けて検察に召還され調査を受けた。大統領汚辱の歴史を再び目撃した国民の心は惨めだ。世界にこうした大統領残酷史を持つ国はどこにもない。李氏は検察庁に入りながら、「歴史で今回のことが最後になればいい」と語った。
この悪循環を断ち切る方法があるのだろうか。まず、大胆で画期的な大統領権力構造の変化が必要だ。韓国社会は“欠陥ある民主主義”から抜け出せずにいる。核心理由は法治が正しく作動せず、人治が大半を占めるからだ。
米国は大統領制を採択しながら、人間の本性に対して深い議論をした。人間は不完全で予測不可能で、はなはだしきは邪悪だと信じた。こうした属性を持つ人物が大統領になれば権力を私物化して乱用する。これを防ぐための方策を集中研究した。そして立法、予算、人事、地方分権で大統領の権力を二重三重に牽制(けんせい)するようにした。
大韓民国はどうなのか。政府が予算編成権と法案提出権を持ち、監査院は政府に隷属している。大統領が権力暴走を防ぐ検察、国税庁、監査院など権力機関首長に対する人事権を思いのままに振り回すことができる。一言で予算権、検察権、人事権を掌握した大統領は形式的な牽制があるだけで王のように権力を行使できる。
改憲議論が真っ最中だ。政府が提出した改憲草案には帝王的大統領制の弊害を減らすための大統領権限縮小案があるが、とても微弱だという評価だ。牽制を受けない権力は不幸な大統領へ行く道であり、失敗するということを忘れてはならない。特に国会、メディア、市民団体の権力監視機能が大幅強化されなければならない。
統治者の認識と資質にも大きい変化がなければならない。いくら制度と構造を変えても大統領の公人認識と道徳性が弱ければ意味がない。丁若鏞(チョンヤギョン)(李朝後期の実学者)は公職者の基本倫理として「公」と「廉」を主張した。特に「財物に清廉で女色に清廉で職位に清廉」とした。
大統領汚辱の歴史に終止符を打とうとするなら、万事可能な権力を実質的に分散させることに劣らず、資質のない人物は統治者になれないように国民とメディアがいつも目を光らせ、これ以上恥ずかしい汚辱の歴史が反復されない実効性のある対策を模索しなければならない。今回が最後の機会だ。
(金亨俊(キムヒョンジュン)明知大教授・政治学、3月16日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。