“ハイパーパワー”米国脅す北朝鮮


韓国紙セゲイルボ

米中朝を行き交う情報に集中を

 北朝鮮が核・ミサイル開発の完成段階に入った。先月は2度の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を行い、米情報当局は北が核弾頭の小型化に成功したと結論を出したという。核弾頭の大気圏再突入技術を確保すれば、米本土が核ミサイルの脅威に晒(さら)される。

ダンフォード氏(左)と宋永武氏

14日、ソウルで、ダンフォード米統合参謀本部議長(左)を迎える韓国の宋永武国防相(AFP=時事)

 先週にはグアム周辺30~40㌔㍍海域に中距離弾道ミサイル(IRBM)4発で包囲射撃をすると脅した。韓半島有事の際、米軍戦略兵器発進基地であるグアムを精密打撃する能力を誇示しようとするのだ。

 トランプ米大統領は、「今まで世界が見たことがない“火炎と怒り”に直面することになるだろう」と応じた。「軍事オプションが完全に準備され装填された」とも述べた。

 米大統領府国家安保会議副補佐官は、「在来式であれ核兵器であれ特殊部隊であれ、北朝鮮だけでなく世界どの国も米国の軍事力に挑戦できない」とし、「米国はスーパーパワーでなく、世界のハイパーパワーだ」と言った。誰も対抗できない超強大国に対抗するなという警告だ。

 北朝鮮はグアム包囲射撃体制を準備して命令を待つと言い、来週には韓米連合軍事訓練が始まる。韓半島周辺に緊張が高まるだろう。脱冷戦以後、軍事的に米国に正面挑戦するのは類例がない状況だ。われわれは「強対強」対決の間で身動きがとれない。

 大統領府は北朝鮮のグアム包囲射撃威嚇以後、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、韓半島緊張解消に「必要なすべての措置」を講じることにした。文在寅(ムンジェイン)大統領の指示をそのまま繰り返した言葉だ。つまり妙案がないのだ。文大統領と大統領府・外交安保部署関係者たちは「平和的解決」「韓米共助」という判で押したような言葉を繰り返す。韓半島の安保状況変化を厳重に受け入れ、危機を管理する力量があるのか疑わしい。

 北朝鮮問題をめぐる状況は盧武鉉時代とは180度違う。今は核武装が仕上げ段階で、南北対話チャンネルは全部途切れた。既存の外交安保慣行から抜け出し、新しい状況を見抜いて備え、北朝鮮に対する認識と接近方法を変えなければならない。

 文在寅政府は北朝鮮と米国、中国間を行き来する一言一句に集中し、その行間を読むことをおろそかにしてはならない。それでこそ、多様なシナリオ別に現実的で具体的な対応戦略を立てることができ、“コリアパッシング”の憂慮を払拭(ふっしょく)することができる。それが今政府がすることだ。

(朴完奎(パクワンギュ)首席論説委員、8月14日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。