潘基文氏の大統領選出馬は資格違反か
望ましくない「総長退任直後」
潘基文(パンギムン)前国連事務総長は大統領選を意識したパフォーマンスを演じる前に明確にすべきことがある。自身をめぐる二つの疑惑、すなわち大統領被選挙権と国連決議違反だ。
公職選挙法第16条は大統領の被選挙権として、「選挙日現在5年以上国内に居住している40歳以上の国民」と規定している。5年以上続けて居住している“現在進行形”という意味ならば、10年間、米国に居住していた潘氏には出馬資格がない。
ところが中央選管委は被選挙権に問題はないとした。「5年以上の期間を国内に居住した事実がある40歳以上の国民は、国内に続けて居住したかは関係なく、大統領の被選挙権がある」との担当者の解釈を明らかにした。現在進行形で「居住している」を過去型の「居住した」と解釈したのだ。
この条項は言葉通りに読めばいい国語の問題であって、法条文解釈の問題でない。「居住している」は現在継続して居住している状態であって、過去に住んだ事実を意味するものではない。憲法学者ら法専門家の意見も同じだ。選管委の解釈は実に奇怪である。
次は潘基文出馬が国連決議違反かどうかだ。1946年国連決議11号は、「国連会員国は事務総長退任直後、いかなる政府職も提供しないことが望ましい。事務総長自身もそのような職責を受諾するのを遠慮すべきだ」と明示している。事務総長の職位を国内政治の踏み台としてはならないという趣旨だ。
強制性と拘束力はない勧告事項で、国連報道官も義務事項ではないとした。潘氏も、「私のいかなる政治的な活動、特に選出職と関連した政治活動を防ぐような条項ではない」と述べた。しかし「勧告」はしてもかまわないということではなく、「できる限りするな」という意味だ。潘氏の前任事務総長7人は全員がこの決議を守った。
潘氏は国連最後の退任演説で「国連チャイルド」を自任した。それなら誰よりも率先して国連精神を尊重しなければならない道徳的義務がある。国連の崇高な目的と原則を傷つけてはならない
われわれは政治指導者が掲げる公約のように、特別なことを望むのではない。ただ大韓民国の法と原則を正しく立て直し、常識が通じる社会を望むだけだ。朴槿恵(パククネ)政府を見て切実にそう思う。
(金起弘(キムキホン)論説委員、1月17日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。