平和協定で非核化は希望的観測


韓国紙セゲイルボ

戦争抑止力を優先すべき

 北朝鮮による5回目の核実験とそれ以後の追加核実験で核兵器小型化・軽量化が完成すれば、韓国は“風前の灯火(ともしび)”の危機に直面することになる。

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核兵器研究に携わる科学者や技術者と話す北朝鮮の金正恩第1書記(中央)=撮影日・場所不明、朝鮮中央通信が配信(EPA=時事)

 中国は「米国が北の核除去に乗り出せば、韓半島で戦争が起きるだろう」と危惧する。オバマ米大統領も最近、「米国には北朝鮮を破壊する能力があるが、韓国が被害を受けるので忍耐する」という趣旨の発言をした。

 北朝鮮の動向を見れば、平和的な南北統一は不可能に見える。2005年の6カ国協議で導き出された9・19共同声明は北朝鮮が「核兵器・核計画放棄」を公約した成果物だった。

 しかし、北朝鮮は翌年、1回目の核実験を強行し、6カ国協議関連国を無視。相次いで核挑発を強行しながら、核拡散防止条約(NPT)体制の核心である米国、中国、ロシアを弄んだ。

 すると中国は北朝鮮の非核化と韓半島平和協定締結を併行議論しようというカードを持ち出して、米国を動かそうと企んできた。永らく6カ国協議を引っ張ってきた中国は北朝鮮が願う平和協定締結カードで、6カ国協議を復元し、これを通じて北核交渉の主導権を回復しようとしているのだ。中国が非核化・平和協定併行論を提起した理由である。

 非核化に関心がない北朝鮮も平和協定議論は歓迎している。過去、北朝鮮の金桂寛(キムゲグァン)外務次官は訪問した中国で、「非核化交渉と平和体制交渉を併行するなら6カ国協議に復帰できる」という意思を伝え、北朝鮮外務省は2010年1月、外務省報道官談話で、平和協定交渉を6カ国協議復帰条件として公式化している。

 だが、1997年12月から99年8月まで続いた「韓半島平和体制」議論のための4カ国協議(韓米中朝)が明確に見せたように、平和協定議論で非核化を実現できるという考えは「希望事項」にすぎない。

 幸い米国は北朝鮮の非核化措置を優先しなければならないという韓国の立場に同調しているが、米国の国益が常に韓国の国益と一致するものではない。米国と中国の碁盤から韓国が弾きだされる可能性は常にあるのだ。

 韓国がすべき事は国論をまとめ、自主国防に専心することだ。戦争抑止力を土台としない対北朝鮮和解策はロマンチックな幻想であり、再分裂の序曲にすぎない。

(シン・ドンジュ北京特派員、5月2日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。